平和憲法を守る県民のつどい
こうち九条の会が主催する「平和憲法を守る県民のつどい」と言う会合に参加しました。高知県民文化ホールのオレンジでの集会。市民800人が集っていました。今年は「日本国憲法公布60周年・こうち九条の会結成2周年記念」と言うことで、記念講演がありました。
こうち9条の会代表の栗原透氏から挨拶がありました。「高知県下200の地域で9条の会が結成されました。しかしまだまだです。土佐清水市、大月町、旧十和村(とうわそん)では、有権者の過半数が憲法改悪反対の署名をしています。他の地域の人たちも頑張りましょう。」
続いて谷脇和人事務局長は「国民の過半数が憲法改悪に反対しませんと阻止できません。自民党や公明党の支持者、無党派の皆さんも参加していただかないと憲法改悪を阻止できません。幅広い運動を展開しましょう。」と言われました。
講師は渡辺治さん(一橋大学教授 九条の会事務局)でした。演題は「憲法九条「改正」で平和を守れるか」 -安倍新政権と改憲の新段階-でした。大学の学部長ということでしたが、講演はメリハリがあり退屈しませんでした。
「安倍首相は自民党結党以来22年の首相が出ました。極右思想の持ち主も何人かいましたが、皆憲法改正しますとは言いませんでした。自民党は結党以来憲法改正を綱領に掲げている政党です。安倍首相だけが就任時に憲法改正を発言しました。」
「憲法改正の理由を言う人たちは、改正しないと北朝鮮の脅威に対抗できない」と言われます。しかし戦争をするには石油が必要です。日本は年間5億トン石油を消費しています。北朝鮮は50万トンです。装備その他は自衛隊は格段に良く、何も憲法をわざわざ改正しなくても専守防衛で侵略行為は撃退できます。」
「他国への侵略と言いますのは、例えばアメリカは現在13万人の兵士をイラクへ送り込んでいます。彼らの毎日の食料。住居。パソコンも持ち込んでいます。それを支える経済がなければ他国への侵略はできません。北朝鮮の国力は、東京の足立区程度です。そこに2200万人が生活しています。他国を侵略する余力など現実的に考えればありません。」
「制定から60年経過し、現実と日本国憲法が乖離したから改正しなけばならないという意見もあります。これも日本国憲法25条に、国民は誰でも最低限の文化水準と生活は保障されなければならない。とあります。現在生活支援世帯数が増加し、年間3万人の国民が自殺し、うち6割が50歳以上の男性です。
正さなければならないのは、生活苦を生み出す社会であって憲法ではないはずです。この理由からも冷静に考えれば憲法9条を改正する理由は見当たりません。」
渡辺氏は「冷戦構造の終了と、経済のグローバル化が、憲法改正の動きを拍車をかけている」と警告していました。
冷戦時代は自由経済は10億人規模の市場でした。アメリカ、欧州、日本、台湾、東南アジア程度。冷戦崩壊後、世界経済に中国や、ロシア、東欧、が組み込まれ、経済発展によりインドやアフリカ諸国、南米諸国も加わりました。市場規模は40億人に拡大しました。
それだけ「世界の警察官」であるアメリカ軍の仕事量は格段に増えました。また2001年の「9・11」から、「テロとの戦争」に米軍の体制は変貌しました。憲法上の制約のある日本は、インド洋での海上給油活動や、イラクでの米軍輸送活動に限定した活動をしています。
イラクのサマワでの自衛隊は復興支援活動をしましたが、イギリス軍やオランダ軍に守られた活動でした。米軍再編に伴い、「テロとの戦い」で日本をどうしても引き込みたいアメリカは公然と日本政府に憲法改正を要求してきています。
昨年自民党の出した憲法改正草案は、民主党に迎合した内容になっており、需要で箇所は民主党に配慮しているようです。渡辺氏は「ただただ憲法の改正を狙っている一点です。でも国民がそれを認めれば、日本は再び戦争国家になります。」とも。
「確かに1945年までの日本はアジア各地で新着戦争を繰り返し、多数のアジアの人たちと日本国民が犠牲になりました。1945年以降アジアで戦争をくりかえしてきたのはアメリカです。日本は1人も他国民を殺害していません。
これを誇りとし、日本国憲法第9条を次世代に残すことが私たちの役割です。」と言われました。
会場には900人の熱心な市民が来ていました。ただ運動の広がりと言うことではある組織政党の関係者が多数を占めていましたね。品川正治さんや、天木直人さんの講演会のような広がりは感じられませんでした。そのあたりが高知での「9条の会」の問題点であり、課題でしょうか。
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