西村 今月のゲストは団塊の世代であり、昨年11月に2年間の限定で高知へ帰郷された田植光男さんです。
18歳の高校生を卒業して以来、大阪、東京とで生活されてきました。ブログも「プランテーションプレイス」というタイトルでこのほど始められました。
今回のテーマは「間伐体験で何を思われましたか?」でお話をお聞きします。
土佐の森救援隊をされている中嶋健造さんたちといの町本川長沢地区で間伐体験をされたように聞きました。体験された感想はいかがでしょうか?

田植 間伐のボランティアのことを「けんちゃん」に紹介されて,まったくの初心者で参加しました。
皆さん快く受け入れてくれました。これまで1月の20日と2月の10日と2回参加しました。通常は一泊して2日間、間伐作業を行いますが、私は一日だけ参加しました。最初の日は皆さんとお話もしたかったので夕食を共にさせていただき、猪の焼肉、雉なべをご馳走になりながら一杯飲み一泊して、朝帰ってきました。
もともと森林には関心があったし、福島の来年行く姉の家が材木屋をしています。今は息子(甥)が継いでますが。山は好きですし、いい経験になると思い参加しています。
ボランティアなので時間的には余裕を持って作業をしていますが、皆さんほんとに熱心です。今年は暖かいので助かりますが、寒くても雨が降っても活動しているようです。
メンバーには本来林業にかかわりのない方も多いと伺いましたが、皆さん豊富な知識を持ち積極的に山を守ると言う意気込みを感じました。

西村 山の斜面での間伐作業はなかなか難しく危険なのではないでしょうか?いきなりの作業は無理だと思われます。熟練するのは時間がかかるものなのでしょうか?都市の人には無理な作業ではないでしょうか?
田植 熟練となると大変な時間がかかると思います。でも、丁寧に指導して頂けました。私は今までチェーンソウなんか使ったことないし、非常に危険なのでまずはその説明がありました。
間伐作業も初心者なので最初は緩やかな斜面で実地指導を受けました。間伐がなぜ必要なのか、土壌流出のこと、間伐材の見極め方、倒木時の注意点等分かりやすく教えてもらいました。
初日で私も5本ぐらい切りました。20m位の木です。倒れるときは迫力があります。初めてきた、女子大生も同じくらい切っていました。
的確な指導を受けながら慎重に行えば作業は出来ます。あくまでも研修生としてですが。でも2回めの時は相当な急斜面で作業を行いました。何とか無事終了しました。ただ、掴んだ小さい木が折れて転び頭と足が逆さまになりましたが、結構楽しかったです。
西村 環境問題を考える上でも山の保全、涵養は大事であると思います。そのあたりは実際体験する前と、体験された後ではどうなのでしょうか?
田植 以前から、森林の荒廃については関心がありました。友人が、福島県の奥会津でブナの自然林の保全活動をして、昨年林野庁に認めさせました。
彼とは今後、連絡を取り合おうと考えています。
国策として植林した森が、採算が取れないために放置されていると聞いていました。植林された森は、一般の人々がハイキングや観光に訪れることのない地域にもたくさんあります。人知れず放置された人工林が、山崩れや土石流の原因になることもあるようです。
「一度人間が手を加えた森は永久的に世話をしていく必要がある」と救援隊の方が言われました。山を守ることが、河川を守り豊かな海を育てると言われます。
山は川を通して海につながっています。海の水は蒸発して山に雨となって振りますが、山の水はそのまま河となって里を通り海に注ぎます。海を守るために漁師の人たちが山に
木を植える運動をしている地域もあると聞きました。北海道の襟裳岬が最初だと聞いています。
このような状況の中で、ボランティアとして山を守る活動は非常に重要なことだと実感しました。荒廃した森林がたくさんあるようです。間伐と共に広葉樹なども含めた混交林を育成していくことも大切だと思いました。
間伐材は山から下ろし、加工して有効に利用しています。

西村 高知県は「森林環境税」を県民1人から年間500円徴税しています。目的は森林の保全です。このような税金についてはどう思われますか?
田植 東京にいたときから聞いていました。私は良いことだと思います。行政として山の保全を予算化することも必要でしょうが、目的税によって、住民に山に対する関心を持ってもらうことは意義はあると思います。
私が入会したNPO法人の土佐の森・救援隊も、環境税から少し資金が出ているようです。山がどうなっているのか。荒廃すれば日常生活にどのような影響が出るのかを、理解してもらえるようにな広報をして、森林を守る必要性を説き、県民の関心を引出していくことも必要だと思います。
また、この税金をどのように使うのか、常に県民に問いかけていく必要があると思います。徴税することによって県民の関心は高まると思います。500円程度の徴税は続けてほしいと思います。
西村 、県税として森林環境税はあります。国レベルでの税の構想では「水源地税として都市部の人たちから徴税すべきであるという意見もあるようです。その考えについてはどのように思われますか?
田植 (インフラの整備は行政が行うことは当然のことです。しかし、飲料や電源の水源は都市部から遠くはなれた地域でその土地に住んでいる住民や貴重な自然に負担を強いています。
先ほどの「森林環境税」と同じく、都市部の人が無関心・無感覚に利用している水道が遥か山間部の水源の森の保全にによって支えられていることに関心を引出すことからも徴税することによって生活基盤の水をを考えるきっかけになればと思います。
西村 大学生達も間伐体験作業に来られていたそうです。また体験後参加者同士での交流会にも参加されたとのことですが、いかがだったでしょうか?
田植 参加したのは高知大学、理学部の3年の女子大生でした。インターネットで探してきたそうです。両親は公務員とサラリーマンですが、おばあさん主体で家族で食べる程度の農業をしているそうです。
非常に積極的で、チェーンソウもしっかり使いこなし、私と同じく5本ぐらい切り倒しました。倒した木が枝に引っかかりますと「木まわし」と言いまして力一杯木を廻して落とすことも一緒に力一杯していました。
ベテランの隊員に質問もして真摯に取り組んでいて、好感が持てました。
当日夜は帰る予定でしたが、いろいろなお話も聞きたいと思い、交流会に参加させていただきました。はじめて猪の焼肉や雉鍋をご馳走になり、結構飲んで楽しく仲間に入れていただきました。
そして、私は結構酔っ払いましたが、隊員の皆さんはに備えて自制し、10時で就寝したようです。

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