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2007.07.06

必見映画「日本の青空」

Nihonoaozora1_3

 以前NHKテレビで「ETV特集 焼け跡から生まれた憲法草案という番組を見ていました。現在の安倍首相や自民党の一部が「日本国憲法は占領軍の押し付け憲法。今こそ日本人による自主憲法制定を」「中国や北朝鮮の軍事的脅威に対抗するには憲法改正し、自衛の為の軍隊を行使しなければならない。」などと言われています。以前わたしもブログに書きました

 そのキャンペーンは殆どウソであることが映画を見て思いました。
 ある雑誌の契約社員である主人公が、編集長から「憲法特集をやろう」と号令をかけられたところから始まります今の。ほとんどの日本人は憲法問題に関心がなく、なんとなく「憲法改正もいいかも」と言う意識。

 「憲法を掘り下げよ」との編集長の言葉が耳につき、帰宅して母親にその話をすると、偶然にも主人公の祖母が小学校教諭時代に、日本国憲法草案を起草した鈴木安蔵の子供さんを教えていたという話から展開していきます。
Eigapannfu
 鈴木安蔵の娘さんの話や、所蔵していた日誌から、人柄や人生が映画で描かれています。京都大学生時代に治安維持法違反第1号で検挙され、大学は退学、3年の実刑をくらいました。同士であった女性と結婚し3人の子供を得たものの、職にはありつけず、親類からの仕送りで細々と肩身の狭い生活をしていました。

 鈴木安蔵は、社会思想には見切りをつけ、憲法の研究を戦前、戦中を通じてしていました。ベースとなっていたのは、自由民権運動運動時代の植木枝盛の憲法草案や、全国各地の憲法草案でした。それはイギリスやフランスの人権思想に大きな影響を受けたものでした。
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(この画面映画にも出てきます。天皇陛下以下皇族も出席され国民全体で日本国憲法の葉交公布を祝賀しました。)


 敗戦後の日本の民主化が大きなテーマでした。国民主権で人権に配慮した憲法でなければならない。男女平等で、だれもが人間らしい生活ができる社会でなければならない。ポツダム宣言の履行がなによりも急がれていました。

 当時の日本政府の関心ごとは国民ではなく、天皇制の保持だけでした。占領軍の多くの国は天皇の戦争責任を追及し、処刑せよとの意見でした。アメリカは日本の国民感情からみて、厳罰と共和制への移行は今は無理であると判断していました。

 当時の日本政府に新憲法を起草するように依頼したものの、出てくる素案は大日本帝国憲法との違いはない天皇主権の憲法でした。これでは極東委員会は説得できない。GHQは民間から提出された憲法草案のなかで鈴木安蔵がまとめた案に注目しました。
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 結果殆ど鈴木憲法草案を採用し、法律知識のある米軍将校で日本国憲法が起草されました。今話題の憲法第9条ですが、映画では鈴木安蔵は軍隊の項目は白紙にしていました。当時の芦原首相が「戦争放棄。軍備を放棄とします。」とマッカーサー司令官に言われたことがそのまま採用されたということです。

 つまり殆どの日本国憲法の草案も、憲法第9条も日本人が考え、こしらえたものでした。
 映画としても優れています。2時間見入ってしまいました。
 小中学生には「総見」と言いまして、全員で授業の変わりに映画を見る研修があるそうです。すべての小中学校で見るべきでしょう。高校生、大学生、社会人全員が見るべき映画であると私は思いました。

 また映画が高知市の自由民権記念館で上映されているのも縁です。ルーツの1つが土佐の自由民権運動でしたから。明日、明後日は自由民権会館で「日本の青空」をみんなで鑑賞してください。
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