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2007.07.15

高知まるごと百貨店構想 その2 7月20日(金)

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
 現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「高知まるごと百貨店構想 その2」についてお話を聞きます。
 高知まるごと百貨店ですが、「高知の豊かな暮らしを創る地場産品専門店」であることです。「高知県内にあるおいしいもの、いいものを取り揃える。農産物、海産物、加工品、お惣菜、飲料・地酒、工芸品・雑貨等」とありますが、具体的にはどのような品物になるのでしょうか?

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松田  将来的には、食べものだけでなく生活雑貨や日用品などバリエーションを増やして、高知県産品だけで、デパートのような品ぞろえを目指していきたいと思っています。初めからは無理なので、まずは毎日必要な野菜・パン・米を中心に、基本の調味料、飲料ではお茶、雑貨では木工品などからスタートしていきたいと思います。

西村 松田さんは 「有機・無添加、自然素材、手作り、田舎(郡部)の物を優先的に取り扱う(応援する)」と言われいます。スーパーや生協なども似たようなことを言ってはいますが、松田さんのまるごと高知百貨店はどこが違うのでしょうか?
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松田 スーパーや生協の品ぞろえをみると、いろんなニーズに対応しなければならないので、高知県産品だけとか、商品はほとんどが無添加というわけにはいきません。多くのお客さんを相手にしていますので、高知県産品で無添加の物の割合は低いのが現状です。

私の店は、基本は高知県産で優先順位を「有機・無添加、自然素材、手作り、田舎(郡部)の物」としていますので、県内に同じものがあれば、できる限りそっちを選択します。その結果、100%絶対とは言い切れませんが、野菜は無農薬・無化学肥料、加工品であれば無添加、生活雑貨であれば自然素材でできたものが多くなっていると思います。

この比率を高めることで、消費者にとっては健康的で、生産者にとってはこだわりが持てる、自然環境にとっては負荷が少ないといった、高知県社会にとって理想的な状態を目指していきたいと思います。
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西村 松田さんは「生産者・商業者・消費者が協力する地場産品専門店」を理念にされています。従来の流通システムとの違いはどのようなところにありますか?お金の流通以外の要素が必要であるのではないのでしょうか?

松田 従来の流通システムは生産者はいかに都会へ売り出すか、消費者は都会と同じような商品をいかに県内で買えるか、価値観や方向性が都会に向いていました。そのため、生産者・商業者・消費者が高知県産品を地元で応援しようといった動きはつい最近まではありませんでした。

最近になって、農産物を中心に直販店が出てきて地産池消の動きが活発になり、従来の都会優先の流通システムを変えようといった気運が出てきています。その気運を背景に、農産物だけでなく、生活に必要なすべてのものを対象に、県内でこだわっているものを地元の消費者が支持する小さな経済循環をつくり、それを土台にして県内で消費しきれないものを県外のマーケットに供給して外貨を稼ぐ。流通の主体性は地方に権限がある「物の地方分権」を目指しています。

そのための出発点が地場産品専門店で、このお店を軌道に乗せるためには、お互いが協力し支援しあう関係がなくてはできません。それには信頼関係がもっとも大切で、直接交流しあう機会をお店がつくることで、心を通わせる要素が絶対に必要だと思います。

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西村 松田さんは「この地場産品の販売拠点には、消費者と生産者とが交流できるよう、ものの良さを伝える手段や機会を十分につくり、消費者がその良さを実感した上で、買い物という投票にも似た行動によって、次世代に高知のいいもの・ものづくり文化を残していこうと思います。」といわれています。

松田 買物は投票と一緒で、支援者が少ないとその商品は競争に負けて潰れていってしまいます。だから、販売は選挙運動と一緒で、いかにその商品の良さや作り手の思いを伝えるか。そして、買い物の時に一票という形で選んでもらえるかが勝負だと思っています。

ですので、自分のお店は県内のいろんな候補者が集まる選挙事務局のようなもので、待っているだけじゃなく、イベントや出張販売、宅配やインターネットを通じた通信販売なども選挙運動としては、次のステップとして展開しなければと思います。

西村 信頼できる生産者とのネットワークが大事であると思います。また商品を購入いただく消費者も固定客が必要です。そのあたりの経済システムはどのようになっているのでしょうか?
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松田 まずは、高知市内のお店で、小規模なネットワークと高知市内を中心とした固定客の獲得に全力投球をして、お店の経営を黒字化することが、新しいビジネスモデルを作る意味でも重要です。ですので、初めは設備投資もランニングコストも極力抑えて、地元の人に支持される商品構成で勝負したいと思います。

ただし、中には高知市内だけでは顧客獲得が難しいこだわりの商品もあるので、その点についてはインターネットでの販売も併用して考えていきたいと思います。経済規模から言えば売上のほとんどはお店で、補完的に若干、ネット販売の売り上げを期待しているのみです。

西村 取扱い品目は食品や加工品が中心なのでしょうか?いわゆる「産直ショップ」とはどのような違いがあるのでしょうか?

松田 取扱い品目はやはり食品や加工品が中心です。いわゆる「産直ショップ」と違うのは、農協や行政(地域枠)といったしがらみがなく、高知県内の物の中から独自の価値観で商品をチョイスできるという強みを持っています。でもこれは生産者の協力がなくてはなりませんので、選んだからにはそれを絶対売ってみせるというプレッシャーもあるわけで、売れないからやめるとか、一般的に売れる商品だけ扱うということはありません。

高知県のこだわりを見せるという意味では、無農薬や無添加といった、人よりも難しいことにチャレンジしているものを優先して扱います。無農薬や無添加というと自然食品の店のようになってしまいがちですが、そんなにがちがちにはするつもりはありません。人はおいしいものを食べたいという純粋な欲求によって行動しますので、まずはおいしいものを探して、それが結果的に、無農薬や無添加だったという結論になると思います。

また、無農薬や無添加など一般的にいいものと言われるものでも必ず売れるというわけでもありませんので、売れない場合は何で売れないのか、消費者のニーズや評価を分析し、売れるためのコンサルティングも必要となってきます。この点は長年、高知県のアンテナショップでニーズ調査や改善案の提案をしてきましたので、ただ物を売るだけのショップとは違う点だと思います。
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