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2007.07.01

高知まるごと百貨店構想について その1  7月3日(金)

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
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 現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「高知まるごと百貨店構想について その1」についてお話を伺います。

松田さんは高知を取り巻く経済の状況に危機感を感じ、「高知まるごと百貨店」を構想されたように聞きました。全国でも不況地区で好景気である地域との格差がますます拡大されているようです。
 高知まるごと百貨店の狙いはどのあたりにありますか?

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松田 高知の街中を歩いていて、シャッターが閉まったままのお店が増えていたり、大きな百貨店やスーパーが街から消えていったりする中で、街にだんだん魅力がなくなっている。その一方で、県外資本のショッピングセンターが郊外にできて、お客さんは県外資本のお店や商品を選択している状況を見ていて、このままでは、高知の商業も製造業も県外のものにおされてダメになってしまうと思いました。

高知の商業を魅力あるものにするためには、新しい魅力ある商品やお店を持ってこなければならない。製造業は地元にその商品を応援してくれる販売拠点を持たなければならない。

だったら、高知の商業・製造業を一度に活性化させるために、高知の地場産品で魅力あるものを集めたお店を街中につくろうと思い、数年前から商店街のイベントなどで自分のお勧め商品を販売しながら準備をしてきました。
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西村「地産地消」という考え方が行政を中心に唱えられています。松田さんはどのように考え行動されるのでしょうか?スローフードとは関係あるのでしょうか?

松田 地産地消という考えは、地元で生産されたものをできる限り地元で消費しようという運動で、食育の推進や食糧自給率を上げるためにも大切な考え方です。私はそれを基本にもう少し生産品のレベルアップを図るために、言葉は似ていますが「地消地産」という逆の発想が必要なのではと考えています。この意味は、「地元で消費したいものを地元でつくる」という消費者側の視点でのものづくりの運動です。

地元でできたものは何でも消費するのではなくて、「本当に買いたいものをできる限り買える適正な価格帯で提供するため」に、地元の消費者がモニターになって商品を評価し、改善の余地があればそれを生産者にフィードバックしてさらに磨きをかける。自分がこれから展開しようとするお店は、高知県産品のマーケティング・商品開発の拠点としての役割も担おうと思っています。

スローフードについては、物は少ないが作ったものは適切に売ってその利益で毎年生産してもらわなければならないので、種の保存が危ぶまれている土佐赤牛や在来種の野菜・穀物などは売っていかなければと思っています。
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(JASS認定で30年間有機無農薬野菜を栽培している井上正雄さんの野菜も販売されています。)

西村 松田さんは「地方で生きる者の豊かさの「ものさし」は、物があふれている時代の中で、近くにしっかりとしたものをつくってくれる環境こそが豊かであると考えます。」と言われています。
 高知は農業県であると言われていますが、食料自給率は高くはありません。また高知県民自身が高知の農産物を好んで食べていないようにも思えるのですが?
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松田  高知県の食糧自給率は確か50%を切っていたように思いますが、その理由として、園芸作物を中心に県外に安定供給するといった役割を日本の中でも担っていたと思います。そのため、いい商品はいったん県外の市場に運ばれ、それが県内に出回らない、出たとしてもそれはわざわざ県外市場から時間と費用をかけて戻ってきたという笑い話になる状態が現実にまだあります。

また、ナスやピーマン、トマトなど高知県の基幹作物は地元でもたくさんあり通年食べられますが、少量多品種型の農業生産ではないため、基幹作物以外は、物がなかったり、ごく限られた季節にしかないといった状況が起こります。

いろんなものをまんべんなく作れば県外や外国産の食糧に頼る比率が低くなるのですが、高知県の長年の戦略として、ごく限られた基幹作物の安定供給を進めてきましたので、多くの農産物は他県に頼らざるを得ない状況となっています。
ですので、地元で必要なもの、食べたいものを地元でつくるという「地消地産」の運動が食糧自給率向上に必要なことだと思います。
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西村 高知県は日本で有数の有機農法の生産県であると言われてきました。しかし県内消費は少なく、殆どが大都市の消費者グループに販売されています。この現実はどうすれば良いと思われますか?

松田 確かに、高知県内でつくられている有機農産物は宅配を中心に大阪や東京の消費者が多く購入しています。安全でおいしいものは値段も割高なので、お客さんも有機野菜に関心のある人か、食材にお金をかけることが負担とならない比較的高所得者となると、高知県内にはターゲットが少ないのが現実だと思います。

ただ、私が生まれる昭和30年代までは、農薬も化学肥料もまだなく、高知県内当たり前に有機農産物しか食べていなかったことを考えると、本当に安全でおいしい野菜の味を知っている人はだんだん少なくなっているので、地元の人にこそその味を知ってもらい、多少割高でも買いたいと思わすようなきっかけづくりが必要だと思います。

有機農産物の県内消費量の拡大についても、まずは少量から固定のリピーターを増やすよう、自分のお店がその役割を担っていこうと思っています。


西村 地域では良いものがあったとしても生産量が少なく、供給が多く出来ません。そのあたりをどうすれば良いのでしょうか?

松田 スーパーでは、品切れはクレームの対象となるので、生産量が少なく安定的に供給できないものは取り扱えません。私の店は、本当にいいものを少量でも扱い、品切れになればその理由をお客さんに理解してもらう努力をしようと思っています。

 その点は、お客様の都合が絶対ではなく、生産者の立場や都合も相互理解で克服できるのではないかと思っています。それができるのはやはり地元の小規模店の強みだと思っています。

もし、人気が出て、今の生産体制では不十分だとなれば、意欲のある生産者であれば人を雇いもう少し生産量を増やそうといった動きになると思います。最終的に、そういった雇用創出や担い手・跡継ぎができるようにヒット商品を増やしていきたいと思います。

西村 松田さんは「高知市内のスーパーや土産店では売っていない(競合しない)商品(食品だけでなく工芸品も)を高知市及び郡部から取りそろえ、地域の生活者に販売することで、このお店を通じて、高知の物産や物の豊かさを実感してもらいたいと考えています。」と言われています。
 品物の仕入れや、販売方法は大変であると思われますが、おかまいない範囲でお話下さい。

松田 商品の仕入れは、基本的に自分でまずは味を確かめ、これがいいと思ったら生産者に直接会いに行って、意見交換をします。そこで、商品の魅力だけでなく、生産者の人柄や意欲・基本的な価値観なども把握します。

商品の販売は作り手の思いをいかに伝えるかということがすごく大切になってきますので、売る時も生産者と会って話を聞いたことを自分なりに噛み砕いて、わかりやすく伝えるように心がけようと思います。ただ、100%作り手の思いを伝えることは代役では無理ですので、たまには生産者も店頭に立って直接お客さんと交流してもらえたらと思います。
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7月1日のおびさんマルシェにこうち暮らしの樂校も出店されます。)

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