監視国家体制の恐怖
昨日は「善き人のためのソナタ」というドイツ映画を見ました。共産主義独裁体制下の東ドイツの話。反体制運動の疑いのある劇作家の部屋を秘密警察が24時間盗聴している。独裁国家の腐敗と密告制度の恐ろしさを見事に描いています。
主人公は秘密警察の優秀な大尉。彼はあるとき劇作家の弾くピアノ曲を聞いてから何かが変わり、当局にとって重要な情報を「なにもなし」と手ごろを加える。そのピアノ曲はかつては東ドイツの著名な劇作家であったが当局に睨まれ10年間も仕事が出来ず悩んで自殺した人が作曲した曲でした。
作家の部屋と屋根裏の盗聴室。秘密警察とその周辺の街路。少ない場面設定だが緊迫感があり2時間の映画も退屈しなかった。家族同士が密告する社会。盗聴の巧妙さ。会話の全てが録音され、紙に記録される。恐ろしい社会である。
秘密警察の大尉は結果として情が移ったのか、劇作家の危機を救い、自分が当局に収監されてしまう。それも劇作家の同居していた女優が大尉の尋問で秘密を告白し、秘密警察の家宅捜査が行われる前に大尉が先回りし、決定的な証拠を隠滅してしまう。
場面設定が少なく、殆ど劇作家の部屋や、盗聴する場面ばかりですが緊迫し、2時間がむしろ短いと感じました。
それにしても良い映画なのにかるぽーと30人程度しかいないのは残念。シネコンでは絶対にかからない映画であるのにである。
「共謀罪」が日本で施行されたら東ドイツのような密告国家、監視国家になるのでしょうか。他人事ではない恐怖を感じました。
自民党の鳩山法相はしきりに「共謀罪」のことを実施せよと発言しています。「テロ対策」を名目に導入することは民主主義の死を意味することを私たちは銘記しなければいけません。
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