地方疲弊の象徴ーある土建会社の破綻
取引先の土建会社が11月13日に自己破産申請し、事実上倒産しました。破産管財人である3人の弁護士名にて債権者説明会がので会場へ出かけました。なにせ190社の取引先があるというので、大変な大人数の債権者会議でした。
司会は弁護士が行いました。高知市のホテルの会議室が会場でした。会場の段取りは弁護士事務所が。会場整理は解雇された土建会社の従業員が受付などをされていました。数えましたら約80数人の債権者が詰め掛けておりました。
最初に土建会社の代表取締役からの経過説明がおこなわれました。最盛期には30億を超えていた売上高がこの2年くらいは10億に減少。今後の業績の回復の見込みもなく、金融機関の助言もあり廃業を決意されたとか。
(グラフは右が古く、左側が新しくなっています。会場前に張り出していました。)
以前も売り上げ減少は体験はしているが、今後も公共工事は減少の一途。市町村合併後も工事は増えず、業者の新規参入、工事の減少、競争の激化による工事単価の低下と利益率の低下。など先が見えない状況が続いてということです。
借り入れ利息が年間2000万円あり、それがなければ黒字でした。経営者として個人保証もし借り入れをおこしてきましたが、資金ショートを起こしとのことです。
その後代理人の弁護士から経過説明と、破産申請にいたる経緯が説明されました。淡々と事務的におこなわれる説明を聞いていますと会社の終末もこんなものであるかなとも思いました。しかし人様に迷惑をかけた形では終わりたくないというのが商人の感覚でしょう。
あまりに手際の良い幕切れに。こんなやりかたもあるのだねと半ば諦めの心境でした。会社の土地資産は担保権者である金融機関が抑えておりますし。一般債権者は「泣き寝入り」というのが今の世の中ですね。
昔の商人が「見切り千両」という言葉を残しています。「損切り」という言葉もあります。いわば金融のプロである金融機関もアメリカの住宅ローンの焦げ付き損は巨額に発生するようですし。プロでも不良債権を防止することは難しいのですから。
代表取締役の人は憔悴しきっていました。青年会議所時代も知っていた先輩の人だけに、会議終了後に「勇気ある発言お疲れ様でした。」と声掛けをしました。とは言うものの、不良債権には間違いないので、こちらには憂鬱な2007年の1コマではあります。
小泉行政改革の波に飲み込まれた地域の優良土建会社の告別式のような雰囲気でありました。
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