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2007.11.25

憲法は何故守る必要があるのか

西村 今月の「けんちゃんのどこでもブログ」のゲストは、四万十市から来て頂きましたブロガーの土佐高知さんです。「土佐高知の雑記帳」というブログを3年ほど前から作成されておられます。私はそのブログを毎日拝見しています。今回のテーマは「憲法は何故守る必要があるのか」です。土佐高知さんと対談します。

 土佐高知さんは様々な社会運動を体験されていると思います、そのなかで「憲法を守らなくてはいけない」と思うようになられた出来事にはどういうことがあったのでしょうか?

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(60年前の憲法公布式典)
土佐 憲法を守るというか今の憲法が出来た歴史的な流れを言いますと、自由民権運動を含めまして、高知県を含めましてつくられた流れのなかで、戦後憲法研究会を通じて今の憲法につながっています。

 そういう面で言いますと、他所から「押し付けられた」憲法ではなくて、日本人が自分達の運動のなかで作り上げてきたものがあるし、あの戦争によって悲惨なめに遭った反省からつくられたのが今の憲法であると思います。

 そういう意味で今の憲法を守ることは私たちの義務であり責任でもあります。

西村  最近の「新自由主義」の横行による格差社会では、生活の破壊が実際に起こっています。日本国憲法第25条の精神、「最低で文化的生活の保持」を国に保障させないといけないと思いますが、そのあたりの考え方はいかがでしょうか?

土佐 まず新自由主義というのは、なんでもかんでも「コスト」で考えていきますね。けれども私はそれは違う。それではうまくいかないと思います。それでははかれないものがいくつかあると思います。
 例えば高知県の主要産業である第一次産業に関係しています。たとえば食料の問題。林業の問題。漁業の問題であるとか。
 まず食料の問題から言えばまずコストが高い低いではなく「国の安全保障上の問題」で国民をきっちり守れるかどうかの問題ではないのでしょうか。

 ところが新自由主義的な考え方でいけば、コストが高いということになりまして、今でさえ日本の食糧自給率は40%程度なのに、それを更に下げようとしています。とんでもないことです。新自由主義そのものには私は反対です。そのところはあらためないといけないと思います。

 そしてやはり社会というものは、お金を儲けている人は多く負担し、お金を儲けていないところに(供与する)流れをつくっていく。強いものは弱いものを助ける。それが社会であると思います。

 それを根本から崩していったのが新自由主義の考え方であると思います。これは憲法とは相容れない考え方であると思います。小泉さん以降つくられたこういう流れを断ち切りたいと思っています。

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西村  安倍晋三前首相は国民投票法案を国会で強行採決しました。理屈上は3年以内に国民投票で憲法改正は可能になりました。国民投票に持ち込まれた時、憲法を守ることは出来ると思われますか?

土佐 ケースはいろいろあると思いますね。憲法を変えようと言う流れの中で、いろんな思惑があると思います。一つの改正法案を出してくるかどうかということもあります。
 憲法を変えるという一点で言えば「ここが不備であるからここを変えようとか」いう流れもあると思います。

 どういう条文で変えてくるという戦いになれば、十分に阻止できると思います。憲法9条の問題。先ほどの憲法25条の問題。日本国憲法は世界でも優れた法制でありますから、ここはきっちり守るという運動ということが、日本民族の過去の歴史、戦いのなかでつくられたものが(憲法には)強くあると思います。わたしは戦い方で十分阻止が出来ると思います。

西村 日本国憲法をよく知らない、関心のない市民が多いと思います。その反面安倍内閣時代には得体の知れない「有識者会議」なるものが「集団的自衛権の行使に躊躇するな」「アメリカへ向かうとわかる弾道ミサイル撃ち落すことは可能だ」とかの意見を言っておりました。大変危険な発言であると思いますが、そう思われますか?

土佐 これは大変危険なお話です。そもそも憲法9条のもとで、「日本は戦力はもたない」と言っているのに、戦力を持っていますから、自衛隊という戦力を持っているからこういう形になるのだと思います。

 仮に自衛隊が現状の中で必要とされていることで肯定するにしても。集団的自衛権の行使は、
つまりアメリカへ行くミサイルを日本が撃ち落せば、自動的にミサイルを撃った国との交戦状態になります。ひじょうに危険で憲法そのものを否定する考え方であると思います。

 こういうことに道を開いていけば、次から次へと憲法9条がなし崩しになっていきます。そういう流れが生まれると思います。ここはなんとしても阻止しなければならないし、やめさせなければならないと思います。

 わたしは先の戦争の歴史や経過を振り返ってみました。最初はなんでもないことと思われていた満州事変。それ以前のいろんな出来事が次々とドミノのようになって、最後は太平洋戦争になり敗戦となりました。

 そういう危険な流れがある時は、早期にその芽を摘み取っておくことが日本国民の義務であると思います。


西村  いつも思うのですが、改憲勢力は一致団結しているようですが、護憲勢力はいつも分裂しているように思われます。なぜ統一して護憲で動けないのでしょうか?

土佐  ここもけんちゃんとは認識が異なります。改憲勢力が一致団結しているとは僕は思いません。中でも9条の問題をどう変えるのかで温度差があるようです。天皇の問題についても同じです。

 ただ大きく言って「憲法は古臭くなった」という一般的な宣伝のなかで、国民世論が「それほど古くて時代に合わない様なら変えたらどうか。」という世論もつくられているようです。
 護憲勢力の側は少なくても「憲法9条を守る」という点では一致しているように思います。

 ただやり方の問題で、いくつかの政党、党派がイニシアチブをとるとらんで分裂になるのですから。私は政治家は政治家のやりかた。市民運動は市民運動のやりかたで。行こうと。
 それをなにかひとつにまとめようとしますと、なかなか意見の一致が見られない。

 ですのでわたしはすこし古いかもしれませんが「別個に進んで、同時に撃て」ということが大事ではないのかなと思います。

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西村  タレントの太田光と宗教学者中沢新一との共著「日本国憲法を世界遺産にと本を読んだことがありますか?そのなかで憲法9条は矛盾だらけだけれども、守るだけの価値はある。著者達は言っています。そのあたりはどう思われますか?


土佐 わたしは残念ながらその本は読んでいません。9条は本当に大事であると思います。
さきほど戦前のことを研究していると言いましたが、旧姓の高知高校(現高知大学)で、戦犯でチャンギー(シンガポール)で処刑された木村功さんという人がいます。彼が遺書を残しています。「きけわだつみの唱」のなかに掲載されています。

 かれが戦前の日本の体制のことを本当に深く反省をして、「日本は戦前はなんでも力で解決しようとした。歴史が長いだけでは駄目なんだ。軍人が闊歩するそういう社会をこしらえた日本国民にも責任がある。」遺書のなかに書かれていました。

 わたしはこの本を読んで大変感動しました。戦犯で処刑される身でありながら、将来の日本について、思いを出し、自分がその一員であった戦前の日本の体制に深い反省をしていました。
 そういうものを書いて若者がいたことに強い共感を感じました。こういう人達が今の憲法9条の流れをつくったと思います。特攻隊の人たちもそうです。彼らは黙して語りませんけれども、彼らは特攻に行きたくて行ったのではない。

 そういうことを考えた時に、憲法9条は日本民族全体がつくった宝であると思います。それをどうしても守らないといけないと思います。それが戦争で亡くなった日本民族300万人。アジアの2000万人を超える人達の想いをわたしたちは引き継いでいかないといけないと思います。強く感じます

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西村  今年が日本国憲法公布60年になります。映画「日本の青空」は鑑賞されましたでしょうか?映画を見ると日本国憲法の大半は鈴木安蔵を中心する憲法問題研究会であり、そのエキスに土佐の自由民権運動や植木枝盛の憲法案などがあることがわかりました。
 決して占領軍の押し付けではないと思います。押し付け憲法が制定60年も継続できる筈はないとは思います。

土佐 残念ながら時間がなくてこの映画見ることができませんでした。NHKスペシャルで@焼け跡からの生まれた憲法草案」という番組は見ました。ほぼ映画とテーマは同じであると思います。

 さきほどの話と継続いたしますが、憲法が戦後60年も続いてきたのは、その長い自由民権運動からの歴史があります。そしてあの悲惨な戦争を起こした反省からつくられた憲法です。そういう点から言えば息の長い日本国憲法になっていると思います。

 これはまさに我々は(日本国憲法の精神が)世界に実施されていないことが問題であって、「古臭くなった」ということではありません。
 この憲法を実現していく政府を国民としてつくらなくてはなりません。世界にも素晴らしい日本国憲法を伝えていきたい。そう強く想っています。
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