スタボー・タックが海では優先権が
自衛艦と漁船の衝突事故。海難審判が行われるでしょうが、伝え聞く誰の証言でも航行方向の右側に位置する漁船側に航路の優先権がありますね。
写真がピンボケで申し訳ないことですが、ヨット漫画「風の陣(JIN)」でもこのような場面が出てきます。進行方向右側のヨットが左側の陣のヨットより航路の優先権があるのです。
場面では「スターボだ道を開けろ!」と叫んでいます。左側のヨットは右側のヨットを避け、回避義務がヨットレースではあります。帆船航海時代のなごりでしょう。当時は帆船の舵は右側(スターボード)にありました。帆船の大事な舵側に航路の優先権があると海のルールで決めたのでしょう。
左側はポート(港)と呼ばれています。帆船が港に停泊する時は、舵が右側にあるので、左側に着岸していました。その名残が現在の航空機にもあり、搭乗口は殆ど左側にあります。
その話は商船大学のOBの人に聞きました。学生時代は日本丸などで帆船航海訓練をしたようです。風の音、波の音で船の操船や海洋気象を学ぶ大きな意味があるそうです。
卒業後マンモスタンカーに乗船していたときに、自動操縦の舵が壊れていたことを波の音で気付いたそうです。「同じところを廻っていたようだ。いくらコンピューター制御の船でも人間が操船している。機械は壊れることもある。だから波の音、風の音からどうなっているのかを感じる力が必要なのだ。」と。
自衛艦は回避の義務はあるが、大きな船ですのでとっさには出来ないでしょう。だから見張りの役目は重要。異常を感じる力が自衛官全体になく衰えているのでしょう。
海難審判では警告音を鳴らしたかどうかで争われるでしょう。
(なんと言いましても自衛官側に「シーマン・シップ」が欠如していたとしか思えません。)
そういえばヨット漫画「風の陣(JIN)」の舞台は葉浦市。漁業の町。陣の父親も漁師。今回漁船と自衛艦が衝突事故を起こしたのは千葉県勝浦市沖合いの海。漫画でも陣が初めてのヨットで沖合いに帆走、行方不明だと言って海上保安庁の船やヘリコプター、漁船も総動員で捜索する場面がありました。
海の上では「採算を度外視」しても海の仲間を救助する。それが「シーマン・シップ」なのです。
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