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2008.02.20

放射性廃棄物と地層処分講演会ー高松

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 2月20日は香川県高松市にて「考えようニッポンのエネルギーのことIN香川 全国エネキャラバン 放射性廃棄物と地層処分」(主催経済産業省資源エネルギー庁・四国新聞社)が高松駅裏のサンポートにあるかがわ国際会議場で開催されました。高松での仕事の合間に聴講してきました。

 香川県を中心とする市民120人で会場は満席状態に。明らかに組織動員されたような人たちが多い。年配者とスーツ姿の会社員風が大半。若者の姿は見られない。

 会場へ入ると共催のRNC西日本放送と思われる女性アナウンサーがしきりに注意事項を繰り返していました。「会場内での録音、写真撮影はご遠慮ください。」とのこと。それで会場の写真はありません。

 まず北野大氏(明治大学理工学部教授)の基調講演。「エネルギーと環境について」。実弟のビートたけしのねたも使いながら軽妙に話そうとするが内容はなく退屈。つい居眠りしてしまう。

 話は一般論。「資源は枯渇する。エネルギー資源と鉱物資源の双方で。現在家庭からの廃棄物が5000万トン。産業廃棄物が4億トン。二酸化炭素は13億トン。これをなんとかしないといけない。」

「現世代の発展要求も満たし、次世代の発展欲求も満たす社会を実現するには、循環型社会をつくらないといけない。」

「二酸化炭素を出さないエネルギーは太陽と原子力である。それをうまく使わないといけない。」

続いての講演者は渡邊厚夫氏(経済産業省資源エネルギー庁放射性廃棄物対策室長)。パワーポイントを使用した説明をされました。

「日本エネルギーの自給率は4%。原子力を含めても18%です。1973年は石油が71・4%。2006年は原子力30%、石炭26%、LNGが27%、石油が8%、水力が8%。その他が1・6%です。原子力はCO2を排出しません。」

「最近増加している天然ガス(ING)は原子力の22倍CO2を排出します。風力や太陽光の自然エネルギーは供給安定性がない。コスト高だ。
 原子力は100万キロワットの電気をつくるのに2800億円ですむ。太陽光は3・9兆円かかるし、土地が58キロ㎡いる。風力は8700億かかり214キロ㎡の土地が必要になります。」

「原子力発電は今や日本の基幹燃料。核燃料サイクルで再処理をすれば廃棄物は5分の1に減ります。残りが高レベル放射性廃棄物です。
 ガラスに溶かして固化します。それを金属(ステンレス)で覆います。地層処分の場合は粘土層で多い、更に硬い岩盤に埋め込みます。」
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「日本にも火山帯から15キロ離れ、活断層のない地域がたくさんあるので、そこへ地層処分をしたい。平成40年に実行する予定である。
 確かに日本は地震国。活断層の位置は正確に判明している。また地震は地表部よりも地下のほうが揺れが少なく数分の1である。」

 ビデオが上映され、エジプト考古学者の吉村早大教授が質問者になり,地層学の専門家らしい浦部徹郎東大教授が「火山の位置は分かっているし、活断層のデータもある。地層処分に安全な場所は特定できる。」と。

「文献調査が始まったからといって市町村長や知事が反対すれば次の段階へは進めません。国が交付金を払うことが、東洋町で批判をあびました。処分事業を行う地域が継続的な発展がないといけないと思う。」

「電気を使う以上原子力のごみは処理しなくてはいけない。昨年11月から国も市民の前へ出てきて相互理解をすすめます。高レベル放射性廃棄物の地層処分は安全なので国民の理解が必要です。」

 続いてパネルディスカッションがありました。進行役は中野等氏(四国新聞編集局次長兼論説委員)。パネリストは玉田美登里氏(消費生活アドバイサー)。二口政信氏(原子力発電環境整備機構広報部長)と講演もした資源エネルギー庁の渡邊厚夫氏。

玉田「地層処分については知りませんでした。昨年高知県の東洋町が町長が応募し、断念したことにほっとしていました。でも説明を聞きまして変わりました。先日のNHKのクローズ・アップ現代で日本の原子力の技術力はアメリカや欧州に比べ高い。日本の能力が注目されています。」

中野「NUMOはどのような広報活動をしているのか。」

二口「2000年に原子力発電環境整備機構設立。2002年から広報を開始。地層祖分の中身について広報活動をしています。

中野「原子力政策は国の直轄事業。地方自治体は関与できないのではないか?」

玉田「原子力行政の基本は原子力基本法において、民主的、透明な常に基本原則にたちかえり電力事業者と地元の人たちと接触しないといけない。」

中野「子供達への教育はどうされていますか?主婦の立場では?」

玉田「原子力は怖いというイメージがあります。子供達に今日習ったことを教育すれば理解できると思います。」

中野「地層処分ですが、高知県東洋町が手を上げて、下ろした。しかし廃棄物は増え続けています。地層処分に変わるやりかたはないのでしょうか?」

二口「地層処分は生活圏から隔離する確実な方法です。関係者で協議しないといけないでしょう。」

中野「公募方式では地層処分の候補地が決まらない。国が前面に出るといわれましたが、そのシナリオはどうなおでしょうか?」

渡邊「国は政策事業者という立場で国民と対話します。今までの地方自治体からの公募方式だけでなく、国から申し入れを行うようにします。
 今までは公募に手を上げますと、一切の説明責任が応募した自治体の首長にありました。国が説明責任をします。でも決して強権的にはしません。」

中野「具体的には?」

渡邊「今の段階で個々の話はこの場ではふさわしくはありません。なんとか平成40年に地層処分をすすめないといけない。埋めて後は数百年はモニタリングします。その後に新しい技術がでてくれば掘り返して安全に処分することもありえるでしょう。」

二口「地層処分完了後50年後にその地域にモニュメントをつくります。鉱物資源が周りにない場所でないといけないのですから。」

中野「高レベル放射性廃棄物の国民の意識調査によると、7割が賛成、消極的に賛成です。一方自分の住んでいる地域に地層処分については反対が7割です。住民エゴと言えるでしょう。」

玉田「わたしもたぶんそうなるでしょう。安全性を正確に国民に広報しないといけない思います。火山帯がなく活断層がなければ大阪や東京,香川でも可能ではないのでしょうか?」

二口「4万本の高レベル放射性廃棄物のキャ二スターを地層処分するためには地上では1キロ四方。地下では10キロ平方キロの土地が必要です。それでも日本の広さでは点。火山帯や活断層をさければ適地はあります。」

中野「今の状況はどうなのでしょうか?」

二口「全国の全ての自治体に公募(文献調査)をつのっています。調査は3段階にわたり20年かけます。」

中野「現在の地層処分のやりかたで国民の理解は得られると思いますか?」

渡邊「まさにその考えかたにもとづいて説明をしています。理解がすすみませんと次の段階へは進めません。」

玉田「今日の北野大氏の話で原油高のなかでの原子力の役割と安全性が理解できました。市民にたいしワークショップや出前講座をすべきでしょう。消費生活アドバイサーを使っていただきたい。」

二口「電気の3割、四国は4割が原子力です。毎年1000本の高レベル放射性廃棄物が出ているという意識を国民1人1人がもってほしい。わかりやすい広報が必要です。」

渡邊「国民1人1人の問題として高レベル放射性廃棄物を理解ただきませんと・・。
 自治体の公募だけではなく、理解ある市民と協働で進めたいと思います。最近も松山ワークショップをしました。班毎にわかれて意見交換をしました。

 国としては地域の理解ある市民やNPOとも協働してすすめたいと思います。NUMOや電気事業者が連携して進めたいと思います。」

中野「次代を担う子供達につけをまわしてはいけない。国民と行政との共同作業としての地層処分。今日は参加者の皆さんありがとうございました。」

 録音ができなかったので要約筆記になりました。でも講演会、パネルディスカッションの内容はだいたいこんな程度でありました。

 今日のところは取り急ぎ報告します。

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コメント

原発反対さん
 情報提供ありがとうございました。

 全国各地の地方新聞社に広告を出し、「共催」という形で広報をしていますね。

投稿: けんちゃん | 2009.02.01 11:45

投稿: 原発反対 | 2009.02.01 10:32

 こくやさんコメントありがとうございます。録音も写真撮影もだめだというので(情報公開する意志のない証拠)、懸命に発言を忠実に筆記しました。(汗)

 高松でも会場からの質問は受け付けず、後半は「出来レース」のシンポジウムを見せられておしまいでした。

 でも後日新聞記事を読むと会場からの質問に答えてこうだったのような記事になっていました。

 あらかじめ提出した受講表にある質問を司会者が読み上げ会場のパネラーの資源エネルギー庁の人が回答されていたので記事は「捏造」ではありませんが・・

 なんか国民的課題といいながら、情報公開も市民参加もなおざりな講演会でありました。

投稿: けんちゃん | 2008.02.24 07:57

分かりやすい報告ありがとうございました。
文句でなそうなとこだけで開催して、おわりか?
高知でやりますかねー。

投稿: こくや | 2008.02.23 22:46

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