仁淀川町木質バイオマス地域循環システム施設を見学
3月18日午後1時に仁淀川町役場を訪問しました。木質バイオマス地域循環システムの提唱者である中嶋健造さんのご紹介で行きました。約束の時間より早めに到着したので役場周辺の大崎の街を散策しました。
仁淀川町は、旧吾川村、旧池川町、旧仁淀村の3つの自治体が合併しました。町の森林化率はなんと90%!。耕地面積は1・1%とか。人口は7400人です。高知市から車で90分。高知と松山市の中間にあるのが仁淀川町です。
確かに森林と山ばかり。畑はお茶の栽培をしているようですね。集落の中心地は小学校のようです。地域コミュニティの拠点は大崎小学校。小学校というものはどこでも簡単に廃校にしてはいけませんね。
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午後からは木質バイオマス地域循環システムの説明会が役場会議室で開催されました。仁淀川町産業建設課木質バイオマス係長の片岡寛さんに説明していただきました。東洋役場からも2人の職員が参加されました。またある財団法人も3人が説明会に参加しました。
「事業の経緯を言いますと平成17年に、産業経済省の外郭団体NEDO(技術開発機構)のバイオマスエネルギー地域システム化実験事業に応募し、12月に事業採択されました。」
「仁淀川町は町の面積の90%が森林。うち75%が人工林です。戦後植林された杉や檜の森です。従来は森林資源は住宅建築用ばかり目が向いていましたが、もう1つの柱としてバイオマスエネルギーを利用したエネルギーの地域内自給システムを検討してきました。」
「山林に放置されている林地残材を対象とし、林業の規模と形態に応じた方法で効率的に収集し運搬して、プラントでチップ化し、ガス化ガスタービンコージェネーション設備と木質ペレットを製造、熱源と発電で地域内で最大活用するしくみです。」
(林地残材と言いますのは伐採後、建築用途材として活用されない部分は森林に放置されていました。それを収集し、運搬するしくみは大規模、中規模、小規模の林業家によって異なるようです。資料提供仁淀川町)画像をクリックすると多少拡大します。
来月からはじまる新番組「けんちゃんのいますぐ実行まちづくり」のゲストは中嶋健造さんでした。昨晩高知シティFMの収録で一応「予習」していましたから、仁淀川町片岡係長のお話も半分程度は理解できたと思います。
それから実際に使用されている現場を見に行きました。まず最初に行きましたのは、旧池川町にある「イチゴハウス」です。このハウスの熱源は木質ペレットを燃やしたボイラーです。それですべてのハウスの熱源を供給しています。
今日はとくに暖かい日でしたので「種火」状態でした。知りませんでしたが,イチゴは苗の時期に、「山上げ」といって高地(山の上)へ持って行って涼しいところで育てるそうです。
そのかわりにペレットボイラーの熱源で吸収式冷却機を動かして涼しくするものです。 そのための冷房施設もこの木質ペレットボイラーの発電設備でハウスの一部だそうですが供給できるうようです。
東京方面のお菓子会社とイチゴの契約栽培していまして業績は快調のようだと片岡係長は説明されました。
次に見学させていただきましたのは、ガス化発電・ペレット製造設備に行きました。この施設は高知県でも有数の規模の製材所に隣接されたプラントです。製材所の下に施設がありますので、施設の全景を撮影しました。
降りていきまして、最初にバイオマス受け入れホッパーを見学しました。ここは集られた林地残材を砕いてチップにしたものを投入する場所です。
搬送コンベアでバイオマス流動層ガス化発電設備に供給され、ガス化炉を経てガスタービン発電をします。
隣接するペレット製造設備へもチップは運ばれ、チップ乾燥機を経て圧縮されペレット化されて出てきます。600キロ入る袋に詰められ、木質ペレットボーラーを活用しているユーザーに配送されます。
製材所の熱源や電気の一部も木質バイオマスです。
最後に見学しましたのは、前処理段階の集積所です。ガスタービン発電機&排熱ボイラとペレット製造設備にチップを供給する場所です。製材所を経由し、山の上にあります。
山と積まれた林地残材です。小規模林家やNPOなどの人達が頑張り、予想以上の林地残材が間伐した周辺部の森林から運ばれています。仁淀川町のシステムの優れているとことは、「いままで邪魔もの扱いされた山林に放置されていた林地残材を集める画期的なしくみです。
特定の企業や森林組合だけに林地残材の供給先を頼るのではなく、小規模林業家、里山林業家(農家と兼業)や間伐ボランティをしているNPOなどにも門戸を開放していることです。そのことにより予想を上回る林地残材を集めることに仁淀川町は成功しています。
ガラバコスという愛称の木材破砕機です。投入口に林地残材を放り込みます。そうしますチップ化してでてきます。それをトラックに載せさきほどのバイオマス受け入れホッパーのところまで運搬します。
実際に木質バイオマス地域循環システムを実験段階ですが稼動させている仁淀川町へ来まして、完全ではありませんが、そのシステムの概要が理解することができました。
間伐作業で輩出された林地残材を活用すること。
移動距離は30分程度のところに、林地残材受け入れ施設とプラントは必要。
いわばエネルギーの「地産池消」であります。地域内で熱源や電気を消費する施設も必要です。
インプットとアウトプットを念頭に置きながら、もよりの地域にこしらえることは必要であると確信しました。仁淀川町の実験はあと2年で終わるそうですが、その間に東洋町をはじめ高知県下のいくつかの自治体にこうした木質バイオマス地域循環システムができると思いました。企業への導入も可能ではないかと思いました。
また環境問題に関心のある企業と連携して「排出権取引」や「カーボンオフセット」の活動も将来はリンクするのではないかと思いました。
わたしの今のところの理解度はその程度です。また理解度が深まりましたら、また報告したします。今日のところはこのへんで。
(温泉施設「ゆの森」。木質ペレットボイラーでお湯を沸かしています。
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