本当の木質バイオマスとは? 4月18日(金)
(仁淀川町の温浴移設「ゆの森」。熱源は木質バイオマスボイラーです。)
西村 今月の「けんちゃんの今すぐ実行まちづくり」のゲストはNPO土佐の森救援隊で間伐作業をされている中嶋健造さんです。
今回のテーマは「本当の木質バイオマスとは?」でお話しをお聞きします。今まで木質バイオマス地域循環システムのお話を伺いましたが。自然生態系の中での循環システムである。とお聞きしました。
実際に地域社会の中で地域経済が循環していく。そのようなシステムになっている。そういうことを中嶋さんに聞いたことがあります。そのあたりの話しをお聞きします。
林地残材という木材としては商品価値のない材を収集し運搬する。あるいは農家が兼業でされる。零細な林業家の人が収集運搬していく。運んで持ち込んで。終わり。と思いますけれども、それだけではない。実はその先にストーリーがあるやに聞きましたけれども。
中嶋 この仁淀川町の木質バイオマス地域循環システムは国から補助金を貰ってやっているシステムです。時期がきますと当然補助金は打ち切られます。
その後補助金がなくなっても持続可能なシステムであるかどうかがポイントです。当然地域経済として廻る形。そうでなければいけないのです。そこでひとつアイデアを出しました。
実際今実験をしています。ほぼそれはうまくいっています。実は仁淀川町は林地残材を収集運搬してきた人に対して、1トンあたり3000円支払っています。この値段は林業界でいいますと非常に安い値段です。
いつまで持続できるのかどうか不安です。実際に木材チップの業者などではトン当たり4000円程度の値段で取引されているようです。これは安い。安けれども今は出ている。これを持続可能になるためには、なんとかしないといけない。
木質バイオマス地域循環システムは、実は大きな要素に森林整備がセットになっています。森林整備をすることによって、CO2の吸収効果を高めるということが1つです。
それが燃料になって、石油などの化石燃料の代替になること。CO2の排出削減になること。それが2つめです。その2点がセットになりまして、地球環境保全を実施している。ということが言えると思います。
それを成り立たしていただいている林地残材を収集運搬していただいている人に対して、環境保全、地球環境保全の「直接支払い」をお金ではなく「地域通貨券」で出すことにしています。(デカプリング政策と言えます)
関連記事「地域通貨の可能性は?」(今城逸雄氏)
実は土佐の森救援隊は以前からモリ券を発行していました。地域通貨券もどきです。これをモデルにしまして仁淀川町に提案しました。現在のトン3000円はそのままにして、それとは別に環境支払いとして地域通貨券を発行したらどうだろうか。仁淀川町側はそれは面白いのではないかということになり、今実験中です。
西村 地域通貨券というのは地域マネーですね。日本銀行券ではないですのでどこでも使えるものではない。その地域の中でしかつかえない金券ですよね。
中嶋 例えば現金3000円とは別に、3000円分の地域通貨券を出す。これは地域の商店でしか使えません。このしくみのなかに地域の商店まではいってきます。それがぐるぐるまわれば地域の経済も活性化します。地域経済の浮揚効果にもなります。
出る量、流通する量は最初はたいしたことはないでしょうが、実験ですので。
西村 地域通貨券は仁淀川町内でしか使えないものですね。
中嶋 そうです。
西村 そうしますと仁淀川町の商店もしくは施設はメリットは大きいですね。
中嶋 例えば地域通貨券を使えるお店が、使っていただくのであれば、地域通貨券の原資を出資しようかと。そういう風な話しになるのではないかと。
西村 地域ファンドのようなものも、エコファンドも可能性が将来でてきますね。
中嶋 今現在は当面は仁淀川町が一般財源で出そうと言うことですけれども、将来はこれを企業に求めるということを考えています。
西村 経済の話しでいきますと「サブプライム・ローンがどうした。」とか「石油の投機があり高騰している。」とか。エネルギー資源の高騰で日本経済に打撃を与えているというけれども、木質バイオマス地域循環システムは、環境生態系の循環だけではなく、地域通貨券により地域社会、地域経済も循環していく。
その話の中でお金を集めてくる。投資をするエコファンドのような可能性も出てくるんではないでしょうか?企業の感心などはどうなのでしょうか?
中嶋 このしくみはCO2の吸収が増大する効果があります。それとCO2の排出削減がセットになっております。
CO2を排出している企業がありますね。今話題になっているのは二酸化炭素をオフセットにする。「カーボンオフセット」の動きがあります。
これがおそらく「排出権取引」ということになります。CO2を排出している企業。排出量削減を義務付けられている企業に取りましては大変魅力があるしくみではないでしょうか?
このしくみがCO2削減効果があるということになれば、このしくみを買いたいと言う企業もあるでしょうし。高知県はこういうしくみがいくつもあるということですとこれを金融商品という武器に出来るのではないのでしょうか。
これはまだまだでしょうが、そういう時代が目の前まで来ているのではないでしょうか。
西村 中嶋さんは東京などへ行かれていろんな大企業の環境問題担当の部署の人たちと接触されたと聞いています。そのあたりの感触はいかがでしょうか?
中嶋 それは凄いですね。大手自動車会社なども山林をどんどん購入しています。自動車メーカーですから製造する段階でもCO2を排出します。完成品の自動車も常に排出しています。
そうしたメーカーが山を買っているとか、今まで山を所有していた企業も山を活用していなかったようです。お荷物だったようですね。それを再度見直そうという動きが大手の企業から出てきています。
ほんのこの前ですがある大手商社にそんな話を聞きました。
西村 環境問題ということで、森林の保全と涵養、山を守ろう。環境と言うことは地球全体のこと。多くの世界経済に関わる問題になってくるようです。
環境の面でグローバルな観点から、木質バイオマス地域循環システムを見ていくことも大事ですね。
中嶋 日本は森林の国です。これは世界に対して大きな武器になります。それを最大限に活用しないといけないのではないのでしょうか。
西村 日本人のご先祖が守り育てていただいた森林と言うものを本当にこれから将来にわたり、子々孫々のために最大活用する。地球の為、地域のために森林を活用する時代が来た。そうなるのでしょうか?
中嶋 高知県は全国有数の森林県です。他にそれ以外資源はありません。そうすると高知は「森林を保全して上手に活用する、」しくみづくりがとても大事になります。
高知県はそういうしくみをつくる使命があるようにわたしは思います。
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