グローバル社会と高知の世界について
西村 今月のけんちゃんの今すぐ実行まちづくりのテーマは「高知の根源・由来を考える」ことです。よく使用される「高知らしさ」について何を持って高知と言えるのか。徹底的に検証しようと企画してみました。
ゲストは島本茂男さん。以前の番組「けんちゃんのどこでもコミュニティ」に出演いただきました。毎週金曜日にはりまや橋商店街に占い師として登場されています。宗教や歴史分野に詳しい人です。
もう1人のゲストは中平貴士さん。東京在住ですが全文が土佐弁で筆記されているブログ「土佐のローカルりズムちや」の作者。土佐人にあくまでこだわり古代史まで遡って検証されています。お仕事はクリスタルを媒介にしたセルフヘルプにもとづく癒しの仕事をされています。今回の収録は中平さんが高知へ帰省されている時期に行われました。
さて今回のテーマは「グローバル社会と高知の世界について」でお話をお聞きします。小泉内閣あたりから「グローバル・スタンダード」(=アメリカ・スターダード)が大流行し、地方の暮らしを蔑む傾向が強くまりました。その結果日本の社会は「乾いた格差社会」になりました。
高知は東京都は対極の世界であるべきであると思います。中平さんはそのあたり東京から高知を観察されていてどう思われていますか?
中平 そうですね。まず東京の真似をせずにもっと高知らしい社会や世界を目指すべきですね。それは高知だけではなくそれぞれの地方が価値に基づいて、様々な多極的な社会ー世界を目指すべきだと思っています。
それが(私が考えるローカリズムであると思いますし)私のブログの「土佐のローカルりズムちや」の題名になっています。
東京はバブル崩壊後、日本経済思想が亡んで、アメリカスタンダードに飲み込まれて行きました。
地方が連帯してアメリカスタンダード、新自由主義と対抗しなければ日本は草も生えない不毛の大地になるのではないでしょうか。
西村 世界経済はアメリカ経済の破綻であるサブプライム問題で世界同時不況になりました。投資先を失ったオイルダラーや政府系ファンドは利益確保のために石油への投機をしています。そのため石油価格は不況にもかかわらず高騰し、経済に深刻な打撃を与えています。
「お金に支配される経済」については島本さんはどう思われますか?
島本 まずお金に支配される経済では人々は幸せにはなれないです。さきほど言われました一連のことでそのことがいよいよ明らかになってきました。
お金というのは「物やサービスを交換する媒体」としておおいに流通させるならそれなりの価値を持っています。しかしお金を中心にしてお金を溜め込む。増殖させる。そのことだけを考える経済活動ばかりでは人々の暮らしは貧しくなるばかりで、遂には死滅してしまうでしょう。
私達はとても危険な社会に生きているのではないかと思います。
西村 「お金だけが絶対でお金だけが増殖して、人々の暮らしは貧しくなる一方だ。」と島本さんのご指摘のようにおかしな社会に成りつつあります。ではどうすれば良いと思いますか、。また高知はどうあるべきですか?
何か事例や歴史的な事例などありましたらご紹介下さい。
島本 まず意識を「金ではなく、ものやサービス。人や命に移すことです。」
金よりは命が大切なことは当然のことなのに、その当たり前の事が揺れています。これは全世界で考えていき、実践しなければならないことです。
更に高知では、パイロット事業というか、1番槍をつける活動をすべきであると思っています。世界を高知から変えてやるぞ。という発想がほしいところです。
それから事例になるかどうかわかりませんけれども、「物々交換の発想」「贈り物 贈与の発想」を取り戻すことを始めることも必要ではないのかなと思います。
更に何人かの人で1つのものを持つ。「共有」の思想や、労働力を出し合う「手間がえ」から「結い」とか「講」の活動に展開していけばいいのではと思います。
中平 そうですね。島本さんと同じ意見になると思います。ではどうすればいいのかということですが、まず「意識を変える」「気付く」ということです。
気付く為にはまず考えると言うことです。更に考えると言うことは、まず「既成概念を信じない」ということですね。
それはまず「すべてを疑う」ことにつながります。高知はどうあるべきか。ということですが、さきほど言いましたことを1つ1つ積み上げていくことですね。
これは哲学的な問いかけです。哲学がなければ高知らしさがないと言うことになります。
西村 「人が少ない」「自然が豊か」「歴史がある」というのは高知のアドバンテージであると思います。しかしそれを産業振興や観光、商業で活用しているとは言えませんね。それはどうしてであると思われますか?
島本 まずそのアドバンテージをきっちり(高知の人達が)きちんと認識していない。共有していない。それゆえ活用しようという発想がもてていないと思います。
まず高知のよさ。高知のらしさを十分に知ること。そういうことが大切であると思います。
それから売り込むことの下手さ。伝達力の乏しさも関係しているのですね。
中平 そうですね。島本さんも言われていますが、「高知県民が自分のことに気付いていない。」それは私たち高知県人が「東京を見ゆう(見ている。意識しすぎている)」のではないでしょうか。
東京の価値に染まっている。(東京の物差しで高知を見て卑下している。)ですので高知の価値をきちんと見ていないし、気付いていないのではないのでしょうか。
人が多くて密集しちゅう(している)東京のほうが経済規模が大きくなり、いろんなものが生まれる。そして発展する。そういう構造を今の高知県人は「善」だと思い込んでいるのではないでしょうか。
西村 島本さんや中平さんのご指摘がありましたが、いつのまにか「東京的な価値観で」高知のわたしなんかも高知を見てしまって、自分の郷土や経済を「見下げた」見方をしています。
こうした今流行のクローバル世界(アメリカ的な新自由主義的な考え方)と対極なのは、「ロハス」であり「スローフード」であり、地域生態計画(エコロカルジル・プランニング。あるべきものがそこにある都市計画)であり、有機農業であり、木質バイオマス地域循環システムなどは高知では成立しそうなしくみであると思います。
食のあり方、生活のやりかた。働き方。生き方などを提唱することが必要ではないでしょうか?
島本 大いに必要であると思います。食は「地産地消」。生活はシンプルに。働くことはお金のためでなく、生き甲斐の為。人のため。社会の為。地球の為。という生き方を提唱していきたいです。
中平 わたしも必要であると考えています。日本人だけでなくて世界の人たちの新しいライフスタイル・思想というものを生み出さないといけないと思います。
そういう立場に日本はいると思います。日本のなかで高知が1番最初にそれをやらなければならないといけないと思っています。それをしないと世界は変わらないと思っています。
西村 今福田内閣で総務大臣をされている増田寛也氏が岩手県知事時代に「がんばらない宣言 いわて」を提唱されていました。作家椎名誠氏らとの対談が印象的でした。
高知の場合なんか影が薄いような気がします。
高知のアイデンティティというか、元になる思想が必要であると思います。そのあたりはどのように考えられますでしょうか?
中平 そうですね。わたしは「命の思想」というものを打ち出していくべきであると思います。これはどういうものかと言いますと、古神道とかなり重なってくると思います。それと同時にわたしが今研究している「土佐邪馬台国」とも重なって、「命の思想」というものをこれから高知県人が全面に打ち出して、高知の再生、復興を行わなければならないと思っています。
西村 お金でない、日本の円ー経済優先、お金優先のライフスタイルではない生き方。それを高知県民は世界に優先して実行しなければならない。そのあたり島本さん具体的にお話いただけないでしょうか。
島本 中平さんと一緒に考えた「命の思想」。それは古神道から由来するものです。土佐人は縄文を色濃く残しています。縄文人が自然とともに生きていたように、自然と交流しながら,神とともに生きていたのです。
そういうことをとりもどすことによって、生きていく。自分たちの命を燃え上がらせることで生きていく。くだらないお金のやりとりでどたばたする生き方ではなくて、自然にそくして生きていく。そういう生き方を提唱したいのです。
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