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2008.11.21

防衛省の真実を読んで

Nakatanihon1
 中谷元(元防衛庁長官・衆議院議員)の「誰も書かなかった防衛省の真実」(幻冬舎)を図書館で借りてきまして読みました。田母神前空幕長の「陳腐な歴史認識」が露呈された後だけに興味深く読みました。

 防衛大時代や自衛隊時代の回顧録もあり、体験されたひとでないとわからない自衛官の内情には興味がもてました。

著作の中で中谷氏は「守谷次官の問題はあってはならぬことです。しかし大多数の防衛省の事務方も制服組も、クリーンで真摯に業務に取り組んでいます。それだけに残念でならない。」とも言われていました。

「日本の場合は統合幕僚長というポジションの自衛官が総理大臣に助言をするどころか、総理大臣官邸に行くこともまれです。この部分が、今後の課題になってくるでしょう。」(P127 統合幕僚長の仕事と権限とは。

 守谷元次官は政治家との折衝や根回しも長けていたので、「次官が「天皇」と呼ばれる異常」(P128)と指摘しています。

「防衛装備品の購入整備を担当するセクションの人間が、アメリカ国防省には2万1千人。それが防衛省には1000人しかいない。雲泥の差があるが、影響はないのか。商社の介在を許す遠因ではないのか。それはいたし方ないのか。」(P185 防衛装備品調達システムの改革)
Nakatanihon3mm

 また「自衛隊員の「倫理規定」と「自衛官の心構え」(P164~168)に書かれています。

 「自衛官の心構え」(昭和36年6月)のなかにこう書いてあります。

「自衛隊はつねに国民とともに存在する。したがって民主政治の原則により、その最高指揮官は内閣の代表としての内閣総理大臣であり、その運営の基本については国会の統制を受けるものである。」

「自衛官の精神の基盤となるのは健全な国民精神である。わけても自己を高め、人を愛し、民族と祖国をおもう心は、正しい民族愛、祖国愛としてつねに自衛官の精神の基調となるものである。」

「われわれは自衛官の本質にかえりみ、政治的活動に関与せず、自衛官としての名誉ある使命に深く思いをいたし、高い誇りをもち、次¥に掲げるところを基本として日夜訓練に励み、修養を怠らず、ことに臨んでは、身をもって職責を完遂する覚悟がなければならない」
Nakatanihon2mm

 「自衛隊の心構え」が徹底されておれば、今回の田母神前空幕長などは、職務規定違反者ではないかと思いますね。自衛隊の職業倫理を逸脱した発言を繰り返していましたし。懲戒解雇が当然であると思います。

 文民統制と言いながら、政治家も国民も軍事や自衛隊の問題には無関心であると思います。これでは統制などできません。田母神前空幕長問題は政治のだらしなさ、文民統制の危うさを象徴する出来事ではなかったでしょうか。

 ヒステリックに「自衛隊は憲法違反だ」と言い立てても仕方がないこと。また「押し付け憲法だ」と言い立てても同じこと。戦後日本は日本国憲法と自衛隊は「共存」してきた現実があります。

 中谷元さんは以前番組に出演いただきました。今回の著作も真摯に書かれていると感心しました。一読をお奨めします。

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