やはり難解な吉本隆明氏の著作
寒い1日であるので、引きこもりを決め込んで久しぶりに読書三昧。先日テレビで見かけた吉本隆明氏の著作でも読もうかということで、「共同幻想論」を手にとってみました。
「共同幻想も人間からの世界でとりうる態度がつくりだした観念の形態である。
(中略)
人間はしばしばしぶんの存在を圧殺するために、圧殺されることをしりながら、どうすることもできない必然にうながされてさまざまな負担をつくりだすことができる存在である。
共同幻想もまたその種の負担のひとつである。だから人間にとって共同幻想は個体の幻想と逆立する構造をもっている。
そして共同幻想のうち男性または女性としての人間からうみだす幻想をここでは対幻想とよぶことにした。」
「河出書房 共同幻想論 吉本隆明・著 P28)
東京での学生時代に購入した本。若い頃何度か読んだことがありました。
柳田国男「遠野物語」、「古事記」の引用が多い。
数年前に行方不明になった長者の娘と猟師が山の中で偶然会います。娘はある人の妻になっていて子供を数人生むが、その子供はいつしかいなくなる。男が食べているのかもしれない。今日会ったことは村の人には言わないでほしい。とかいう遠野物語の記述を吉本氏は解説し、禁制やタブーについて。それから共同体や国家について言及していきます。
引用される文献の著作者が、柳田国男、折口信夫、芥川龍之介、夏目漱石、ヘーゲル、フロイト、エンゲルスと来るので、全部が全部読んだわけでないのでわからない部分が多い。
中高年親父になると吉本隆明氏の著作は理解できるのかと思いましたが、相変わらず難解でした。膨大な読書量と思索活動から独自の体系を吉本隆明氏は構築しています。若いときに購入した著作を今年は読み返してみたいと思います。
そういえば別の本棚には「吉本隆明全集」などもありました。しばらく読んでいないので今年は読み返してもいたいと思います。でも理解できない部分が多いでしょう。
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