「閉塞経済」を読んで
「閉塞経済」(金子勝・著・ちくま書房)を読みました。
金子勝氏はテレビでもおなじみ。辛口の経済トークには注目していました。特に小泉ー竹中路線の「構造改革」路線を「完全な間違い」と徹底批判する論客です。
金子氏はバブルの経済学を「高度な数学を駆使する金融工学は、個別の金融商品の設計はできても、金融市場全体のリスクを管理することができなかったのです。そして金融革新の手段がかえって金融危機を深めてしまったのです。」(P55バブルの経済学)
「アメリカはチャンスの恵まれた国というイメージがあります。しかし世代にわたる社会的流動性を考えると、実はアメリカとイギリスは最も低いということがわかります。
親が金持ちならば子供も金持ち、ということになっているのです。逆に大陸ヨーロッパでは米英両国より社会的流動性が高い。北欧諸国は、特に社会的流動性が高い。税率が高く、それで所得再配分しているから、親が医者だったから息子も医者とか、親が代議士だったら、子供も代議士、親が経営者だったら子供も経営者という比率がとても低くなります。
長い目で見ると「結果の平等」を重視することが、「機会の均等」を保障することになり、世代を超えて社会が活力を持ち続けることができるようになります。」(P166 格差とインセンティブの経済学)
とくに「インセンティブ理論の落とし穴」(P168)は特筆。その項目「格差は競争を阻害する」「自立支援では自立できない」「医療にインセンティブ理論を導入すると何が起こるか」など考えさせられました。
もう一度マルクスでも読み返してみようと思いました。なんでもかんでも「民営化がよい」とか、公共事業が悪とか。規制緩和でだれが利益を得たのかといえば、大多数の国民は貧困と格差にあえぎ、悪徳企業オリックスだけが儲けるような政策が日本を壊してしjまったことが良く理解できました。
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