高知発のビジネスモデルの展開を
昨日は学校法人やまもも学園・桜井幼稚園・芸術学園幼稚園事務局長 大石真司さんよりご案内があり、高知県中小企業家同友会主催の講演会へ出席いたしました。講師は藻谷浩介氏(日本政策投資銀行地域振興部参事役)でした。テーマは「高知ならではの活路と戦略を考える 独自の視点から地域を見つめなおす!」でした。
わたしはオブザーバーで聴講に行きました。40人ほどの人たちが集まっていました。
「マスコミの情報は実態から離れた噂話の伝達が多い。皆さんきちんと今の世の中何がおきているのか正確に把握しないといけない。」
まずパワーポイントでの写真やデーターを見せながら藻谷氏は言います。
「この寂れた駅前の風景。どこだかわかりますか?1日の乗降客が15万人の東海市の駅です。写真は空前の景気だといわれた2006年ですが、駅前には繁華街も商店街もホテルもありません。名古屋駅や中部空港へ15分。もよりの高速へ5分の立地にある都市でこの有様。愛知県は経済的に豊かということですが、駅前の惨状は酷い。現実はテレビ・新聞の御伽噺ではない。」
「東京も名古屋も、大阪も10年連続でデパート、スーパーの売り上げは落ち込んでいるのです。消費をしない。車は売れない。高知より大都会がましかといえばそうでもない。」
「スーパーの郊外立地が進み店舗面積が2000年以降延びましたが、平行して売り上げ効率が悪くなりました。自由競争で価格競争で採算度外視になり、業態を維持できない。高知でもイオンが出来て売り場面積が増えましたが、廃業する商業店舗も増えて結果売り場面積が2割減少。雇用者も4500人も減りました。
高知の小売のピークはバブル崩壊後の1996年。バブル時代(1988年)を100とすると96年は120。2006年は97です。全国的にはそんなに悪くはない。」
「しかし休日の通行量と平日が逆転したとか。そうなると商店街は急速に衰退する。」
「高知は高齢化の先進県。高知でビジネスモデルを開発して東京へ打って出ないと。更にはアジアへ出ることを考えないと。
不況で好調なユニクロ、東京ディズニーランド、セブンイレブン、任天堂は高齢者を顧客に取り込んで成功しました。」
「高知でしか採れない物。自然や歴史。いろんな人の意見も聞いて売り出すこと。地元で消費しよさを確認して、少しだけ県外へ売る。付加価値をつけて高く売ることです。少量の付加価値商品を開発すべきでしょう。」
「高知の料理や食材も美味しくないものも多い。化学調味料が多すぎる。今の時代みな美味しいものが当たり前で食べ飽きている。龍馬の酒を復元したら美味しくなかった聞きました。それでいいのです。150年前の製法でまずい酒であっても高く売れるのです。」
「団塊の世代が高齢化して年金を食いつぶしてしばらくは大変になりますが、その後は人口が減りますが豊かになります。イタリヤ・フランスは意外にも鷹揚なのは植民地時代の遺産で食えるから。日本はそんなあこぎな植民地からの搾取をしていません。親の世代が敗戦後に懸命に働いてこしらえた土地や家屋や貯蓄の遺産が子供世代に世襲される時代になってくる。その有効な活用法が今後問題になる。ビジネスになるでしょう。」
「フェラーリやフェアレディZが車が売れない時代に売れています。購入するのは、「かつての青年」です。高くても売れるものはあるのです。」
「高知はなにをすべきか。都会から来たい人もいる。移住したい人もいる。それには家をなんとかすること。次は仕事をなんとかつくること。それすらあれば夏は暑くて冬は結構寒いが移住者は増えるでしょう。繁華街や飲食街がこれほど面白い地方都市はないからです。」
「円高でもあり輸入価格は下がります。日本は食糧輸入国ですがそれが5兆円。国内農業が9兆円。あわせた14兆円よりも巨額の金利資産を日本は保有しています。全然困らない。ただ活用法をしtらないだけ。
竹中平蔵らの言うことは「貯蓄から投資へ」というままにした人たちはリーマン以来大損しました。投資をすればアメリカに吸い取られるだけ。世の中のためになる投資を高知県は引き込まないといけないし、その可能性はあります。」
藻谷氏は全国各地を講演で回っていますが、プライベートにもどんどん地方へ出かけています。フィールドワークは生活者目線で確かです。言うことには説得力があり、大変興味深い講演会でした。ご紹介いただきました大石さんには感謝しています。
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コメント
やっしーさんが紹介いただいた事例などはその良い例でしょう。高知の場合は難しいでしょうね。他人の意見を素直に聞きませんも。
意見を反映させるしくみは高知県にはあいかわらずありません。自分の領域で成功事例をこしらえるしか方法はないようです。
投稿: けんちゃん | 2009.02.18 12:53
全国を見渡すと、田舎でも過疎とは全く無縁の地もあります。
長野県川上村なんかは、そのいい例です。高原レタスの集中出荷により非常に豊かな村です。農業従事者の平均年齢は30歳台で、後継者も育っています。それも、大学を出てから村に戻ってくるので知的水準も高く、都会との交流も盛んです。村全体に高速通信網を張り巡らして、村民全員が無料でインターネットを利用できるとか。
他にも、地域活性化やまちづくりの事例はたくさんあります。それらをきちんと研究して高知ではどうやったらいいのかということをきちんと検証していく必要がありますね。
投稿: やっしー | 2009.02.18 12:25