「愛国の作法」を読んで
テレビでは自信なさげにぼそぼそと喋る政治学者姜尚中(カン・サンジュン)氏。久米宏の「テレビって奴は」に出演していたときも浮いていました。
しかし著作の「愛国の作法」(朝日新聞社 2006年刊)は骨太の文章で綴られています。
「改革で政府によって打ち捨てられた「負け組」の人々ほど、「愛国」に癒やしを求めるのは何故か。日本と韓国の二つの「祖国」のはざまから鋭い問題提起を続けている注目の政治学者が、「愛国心」という怪物と真正面から格闘する。」(表紙の裏の解説文)
姜尚中氏の生い立ちが鋭い国家観を形成したのかもしれないです。知り合いの在日コリアの人も「俺には居場所がない。日本では外国人。韓国では日本に魂を売っただの何の根拠もない中傷をされる。特に在日で成功したら韓国では妬まれる。日本で成功したほうがまし。ただ韓国も今後は成長するので架け橋的な仕事をしてみたい。」と言っていたのを思い出しますね。
「国家が誤りを犯すなら、これを糾し、「是正」することこそ「愛国心」であるという竹腰の「愛国のすすめ」はただ日本の美しい伝統や国土、その文化や情趣をナルシズム的に吹聴する「愛国」とは大きくかけ離れています。」(P185「虚偽の愛国心:)
「わたしはこの戦争に反対する。なぜならわたしは愛国者だからだ。わたしはアメリカを愛する。アメリカの憲法を尊重する。だからこの戦争に反対する。」と。
「パトリオット」(愛国)という言葉を聞いて場内は静まりかえりました。意表を突かれた人が多かったに違いありません。わたしはこの若きアメリカ人の中に、「被縛性」と「自発性」「忠誠」と「反逆」の弁証法的な緊張が見事に生きていると思いました。
これに対して、果たして「わたしは愛国者だ。日本を愛する。日本の憲法を愛する。だからこの戦争に反対する。」と堂々と言ってのけることのできる人がどれだけいたのでしょうか。」
(P187「愛国心ゆえの反逆})
また姜尚中氏は日本の良質の保守政治家である石橋湛山を検証し「靖国神社廃止論」をい紹介しています。
(P171)このあたりは著作を読んでいただきたい。
「石橋湛山が、愛国的心情から靖国神社の廃止の義を会えて提言したとき、石橋の胸には日本の理想が炎のごとく燃え盛っていたに違いない。(P192)
帯に書いているとうりであると思います。
「大切なことは、国を愛することや愛国心を夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特許のままにしておかないことです。
もっしなやかに、そしてしたたかに国を愛することや愛国心について語り、議論することが必要なのです」と骨太に著者は言い切っています。」(表紙の帯にある文章)
納得ができた読書でした。推薦図書であると思います。
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