倭寇とソマリアの海賊
図書館で井沢元彦氏の「逆説の日本史 鉄砲伝来と倭寇の謎」を読みました。週刊ポストに連載されているので時折読んではいました。単行本を読んだのは初めてです。
井沢氏は当時のアジア世界は中国の明の覇権時代。対外貿易を禁止していた。当時の支配的な思想は定住者(農民重視)主義であり、非定住者の商人や芸人は蔑視されていた。社会のはみ出しものたちが、海での仕事とくに交易をしようと思えば、武装しなかには海賊行為をするものがいた。
倭寇というが大半は朝鮮や中国の非定住者達の仕業だとか。中国は豊臣秀吉の朝鮮侵略さえ倭寇の大ボスの仕業と歴史書に書いている。
「非定住民(つまりは農業や工業に従事していない民)にとって、海こそ国家からの管理統制を逃れることのできる、真の意味の自由の天地だったということだ。
それは「海には非定住者の国家があった。」ということではない。
そういう発想こそ定住者のもので、海はむしろ国家に縛られない人々の「インターネット」であった。
つまり三島由紀夫の言葉を借りれば「絶対のアナーキー(無政府主義)」なのである。」
P105 第2章 海と倭寇の歴史編
もちろん時代も背景も違いますが、ソマリアの海賊も中央政府の統制の及ばない海域での海賊行為をしております。ですのでいくら海の上で海賊を退治してもソマリア国内の体制が整備されない限り、海賊はなくならないでしょう。
歴史書を読むと現代社会の出来事をマスコミに惑わされずに考えるようになりますね。
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