日銀高知支店長の講演会
11日は所属の組合の講演会。日本銀行高知支店衛藤支店長を講師にして「日本経済・高知県経済の現状と課題」という大きなテーマの話を拝聴しました。組合所属企業の20人が出席して話を聞きました。
日銀支店長の話をじっくり聞くのは2003年の12月に」けんちゃんのどこでもコミュニティのゲスト出演いただきました迫田敏高さん以来でした。
まず大きな話。世界で今起きていることは、典型的なバブルの崩壊です。米国の住宅価格は1996年を100とすると2006年は300になりました。それが2008年には崩壊。32%一気に下落しています。
バブル崩壊による住宅ローンの延滞率は、サブプライムローン(信用力の低い借りて向け)が40%、プライム・ローン(通常のローン)でも15%が延滞しています。2008年の米国の住宅の差し押さえ率は2009年には39世帯に1件のペース。115万世帯を超えました。
少し遅れて欧州でも同様の現象が起きています。損失はアメリカが271兆円、欧州が119兆円であわせて390兆円。それに対して政府の公的資金投入額はあわせて121兆円。景気対策は127兆円であり、まだまだ少ないようです。
米国の消費者は住宅価格の上昇を当て込み借金漬けになっていました。日本、中国、アジア諸国は米国に輸出することで成長してきました。
日本経済が直面する課題は、外需(米国。欧州、最近は中国)への過度の依存構造になっている。人口構成は少子高齢化になり、いかに今後内需拡大をしていくかが課題です。バブルの元凶の米国の経済成長率が-2.8%。欧州が4・2%。であるのに日本は6・2%も落ち込んでいる。
話を聞いていまして2001年以降の小泉内閣で、各種の規制緩和をしましたが、それは日本国内の内需を拡大するものではなく、借金漬けの米国と欧州への輸出を拡大し、労働者派遣法の改正で、人件費を下げ、労働力を流動化させ、税制を株主と経営者に優位に改正して、輸出主導型の景気回復策に依存しすぎました。それが「グローバル化」の実態でした。過度に依存したがために企業のダメージも大きかったのです。
日本経済建て直しの鍵は 内需創出です。
1・環境。省エネルギー、省資源
2・少子・高齢化への対応
3つの不安(年金・医療・雇用)への対応=これは政治の問題です。
3・地域経済の活性化
国に依存しているだけでは駄目*公共事業。交付金は財政難で困難。
大都市にはなく、地方にあるものを磨き提供すること。 である。
高知県レベルの提案がありました。
1・一次産業およびその加工業。
一定量の安定供給。そのための生産体制。トレーサビリティ、安全性や美味しさ、栄養価の客観的・定量的説明などの付加価値。地域ブランド。
2・環境、森林保全事業への大企業誘致。排出権の販売。木質バイオマスの活用。クリーンエナジーの活用。
3・観光’高齢者需要(時間的ゆとり。平日観光)。海外より国内、歴史への関心.食への関心。健康志向、ふるさとや田園風景への郷愁。滞在型、体験型慣行への需要。農漁村、自然体験。龍馬伝。
4・製造業”地域資源や歴史を活かした産業(窯業土石、一次産品加工、紙、打刃物、各種機械)などの高知県の強みを発揮すべきであるということです。
確かに株価が最近1万円を超えました。それは景気の底が来たのではという期待感と、欧米市場の復調で輸出型大企業の株が買われているだけです。いわば期待感でしょう。でもそれは本当の景気回復ではありません。
小泉内閣時代に間違った経済政策で、国内市場を格差社会にし、輸出依存型経済にしてしまい、社会保障費を削減し、将来の不安を高齢者に持たせました。年金・医療。雇用不安を増大させたので、国民はますますお金を使わなくなりました。
完全な経済政策の失敗です。対米従属主義者は政治の表舞台から退場すべきです。子供たちや高齢者への安心・安全。若者に雇用を作り出す政策が新たな政府には求められるでしょう。
講演を聴いていてそう思いました。
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