米国発ブログ革命を読んで
先日知人に「米国発ブログ革命」(池尾伸一・著・集英社書房・2009年6月刊)を借りて読みました。一読して「アメリカと日本はかくもブログのありかたが違う」なとため息が出ましたね。
日本のブログには「社会性」は殆どない。趣味の日記が多いし、全体の4割がスパム系の「迷惑ブログ」であります。アクセス数を増やすためにブログランクなどという無意味なランキングもあるようですし。全く無意味なランク。
マルコス・モーリツャス(35歳)が運営するブログがアメリカ政界を震撼させ、民主党系の政治家が面会を熱望し、保守系の政治家が警戒する青年。
2002年マルコス青年はブログをアップした。」当時のアメリカは2001年の「9・11テロ」でマスメディアは保守化し、ブッシュ政権の政策批判はタブーであったそうです。
その状況のなかでマルコス青年はブログに書いた。
「戦争はぼくに死をもたらすだけでなく家族を壊し、生き残った者に傷を与える。戦争は最終手段であるべきものなのに、ぼくたちの政府を乗っ取った「軍事政権」の連中は戦争を自分たちの都合の良い政治手段として使おうとしているのだ。」と。(P16)
その当時の心境をマルコス氏はこう述べています。
「テレビも新聞も視聴率や購読者を増やすことだけを考えて,ブッシュ政権が進める戦争の応援団に変わっていった。ジャーナリズムの定義は真実を追及することじゃないのか。ところが記者たちは政府を恐れ、リークのエサにつられ、政権の言うがままにそのまま報道するだけになってしまったんだ。反戦を叫ぶ声は完全に隅っこに追いやられてしまった。不満と不安と孤独感でいっぱいだったよ。」(P16)
いくらマスコミが取り扱わなくても真実の声を求める人たちはいます。最初こそコメントが付かなかったマスコスのブログは注目される存在に成長していきます。
それは民主的なしくみにブログがなっていたからであると。一方通行型の新聞・テレビと異なり、誰でも自分の意見を書き込む機能を導入した。だれでもサイト内に「ダイアリー」という自分のブログサイトを開設できる。書き込んだ内容をほかの読者が評価し、投票方式で多くの「推薦」を集めるほど人の目に触れやすい位置におかれるしくみになっている。
トップページの左側はマルコスや数人の定期ライターの文章が置かれている。右側は一般の人々のダイアリーのページ。多くの記事の中で注目を集める記事は「最新記事」として目次に列挙されるため、どんな記事でも1度はチャンスをあたえられる仕組みだ。
「ネットの海のなかで埋もれないしくみ」を構築したマスコス青年の功績は大きいですね。共和党上院議員が人種差別発言をマスコスのデイリー・コスに掲載されたことで落選することになりましたし。ブログの「オフ会」にはオバマ.ヒラリーなどの大統領候補まで来るようになりまし。
アメリカは自己主張社会であるからブログの意味合いが違うなと思いした。顔を出して実名でどんどん発言する。そして評価されネットワークが広がる。
日本はどうだ。匿名掲示板が未だにのさばっている。自分だけは安全地帯にいて、面と向かっていえない罵倒をWEBでしている。スパムコメントとなんら変わらない非生産性。その違いでしょうか。今でも嘆かわしい。
日米の気質の差を思い知りましたね。社会運動を展開する場合も、ブログやサイトの作り方も検討する必要がありますね。
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