「美しい国へ」を読んで
2006年7月に発刊されていた「美しい国へ」(安倍晋三.著・文春新書)を読みました。ブックオフという書店で400円で販売されていましたので購入しました。2006年7月と言えば安倍氏は内閣官房長官であり、9月の自民党総裁選挙で総理・総裁に上りつめました。その直前の著作です。
色あせた表紙の写真と同様に書かれている内容も「色あせ」「軽いもの」でした。ソフト・ファシストという感じの文章であり、一読しましたが印象に残りません。政策や主張での反感も印象もないですね。
自伝として書かれていた祖父岸信介の思い出や、北朝鮮による日本人拉致問題に対する記述は印象に残りました。著作の中で「わたしの原点」という記述がありました。
「チャーチルは若い頃から、すぐれた伝統と文化をもつ大英帝国の力を維持することは、国民生活の安定が不可欠と考え、社会保障の充実を唱えてきた。
安全保障と社会保障ー。じつはこれこそがわたしの政治家としてのテーマなのである。
確たる信念を持ち、たじろがず、批判を覚悟で臨むー、あらたな決意だった。」(P41)
たぶんゴースト・ライターが殆ど書いたものではないでしょうか。さしさわりのない平易な文章ですが、それだけに印象に残らない。拉致問題と憲法改正問題に枚数が咲かれているのは、ご本人がそれを1番やりたかったのでしょうし。
本人の「並々ならず決意」にもかかわらず、2007年9月には首相を辞任してしまいましたし。同世代のひとではありますが、「ひよわなファシスト」政治家でありました。
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