「坂の上の雲」のブームが起きそうですが・・・・
NHKの大型歴史ドラマ「坂の上の雲」(司馬遼太郎。原作)いよいよ11月29日からスタートします。そういうこともあり、近くの図書館で「1冊でわかる 「坂の上の雲」司馬遼太郎が伝えたもの」(矢沢永一・著・PHP)を読みました。
著者の谷沢氏は司馬遼太郎さんの発言を克明に記録し、書籍にまとめています。司馬さんの歴史観というか、歴史に対する思いはあれこれ言わなくても、この本にまとめられている「見出し」項目でだいたいの事柄は語りつくされている。
1・智恵と勇気と幸運と
2・善玉悪玉論で歴史の大筋が見えるか
3.義務感こそ人間を高貴にする
4.物事を革新する者は、人生の楽しみが生まれる
5.美がわかれば、人生の楽しみが生まれる
6.将師は庇護者としての責任を引き受ける
7.知らしめて悟らしめて人を動かす
8.精神主義と規律主義は無能者の隠れ蓑
9・専門常識はゆらい保守的なものである
10.常勝の驕りが目をくらませる
11・型によって栄え。型とともに滅びる。
12・「卑屈な笑顔」で人の心をとる性向
13・敵失による勝利を美化した悔恨
など見出しだけ眺めていましても、奇跡的な日清・日露戦争の勝利を生み出した原因と努力を、その後の日本陸軍もマスコミも国民も分析することなく、愚かな世界大戦へ巻きこみ国土を廃墟にしながらも責任をとらない連中に対する深い怒りを司馬さんから感じます。
便乗記事の週刊現代の今週号の記事もまあまあもともです。
谷沢氏の著作の記述をなぞりました。
「日本陸軍は補給というものに観念が体験的欠陥としてはじめから欠落していた。」(P125)
「乃木希典 彼には戦争をどれだけ被害を少なく勝利へ運営していくことについてどこか神経の欠落したところがあった。」(P169)
司馬遼太郎さんは「無能」な日本陸軍参謀本部に対する憎悪を口にしています。司馬遼太郎さんの歴史小説には一貫して日本のあり方、国の形を問うテーマが流れているのであると思いました。
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