人それぞれの老い方
年末に図書館で本を借りました。「老いてこそ人生」(石原慎太郎・幻冬舎)と「人生、90歳から面白い!」(やなせたかし・フレーベル館)です。
うちでもやなせたかしさん(90歳)と同学年の父と、吉本隆明さん(84歳)と同年輩の母がいますので、身につまされて読みました。
「太陽の季節」の石原慎太郎さんも現在77歳になりました。
青年時代にサッカーと、ヨットで強健な肉体を誇っていた石原さんにも「老い」は訪れていたようです。腰痛や原因不明の耳鳴りにも悩まされていました。
だから私としては、人生の終盤に近い頃になっての処女体験としてはショック極まりなかった。でもそれに慣れたらいつかその音も聞こえなくなってしまった。と思っているだけで、実は耳をすませばまだ鳴っているのかもしれない。」(P66「耳鳴りのショック」
こうも書かれていました。
「老いを迎え討ち、人生の成熟の時代を更に成熟させて、人生という劇場の決して短くはない最後の幕をたっぷり味わっていくためには、人生の経験を積み重ねてきた人間としての意識を構えて、老いをしっかりみつめて味わうことだと思います。
世にいろいろ味わい深いものがありますが、自分自身の老いていく人生ほど実は味わい深く、前後左右を眺めれば眺めるほど面白く、味わい深いものはないのです。」(P253)
政治家石原慎太郎氏は散漫で大嫌いですが、この本に書かれて居られる言葉は率直で好感が持てました。
やなせたかしさんになりますと「高齢者の達人」=オイドルなる言葉まで発明されて凄いの一言。ご自身が言われているように、「60歳からようやく認められた」というぐらいに。だから「生きる」ことを最大限に楽しまれている。エッセイにはそれがすべてのページに書かれていました。
「ぼくもせめて40歳ぐらいで花開きたかった。(笑い)。60歳になって人生が変わって、そして90歳になったいまになって仕事がいっぱいくる。」(P3)
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