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2010.02.12

「民主集中制と近代政党」を読んで

Minsyusyuutyuuseihon


 「政治と金」の問題で言えば、日本共産党は、それは「清潔な政党」と言えます。企業献金は皆無であるし、国からの政党助成金の受領すら拒否している。政党の運営資金は、党員の党費と、党出版物や機関紙でまかなっているらしい。このご時勢に党員各位の労力は大変であると想像する。

 共産党は懸命に真摯な政党活動をしているのに、国政選挙では議席と得票数を減少の一途。昨年の総選挙でも、自民党、公明党以上に「大敗北」をしています。それなのに、何故か共産党執行部は選挙敗北の責任をとり辞任しません。「居座る」原因が不明です。幹部は何故総選挙敗北の責任を取らなくていいのかわかりませんね。

 志位氏が共産党委員長になってから、一度も国政選挙(衆議院・参議院)で勝利したことがないのではないか。それでも党執行部の責任が党内から追及される気配が見られない。実に不思議な政党ではないか。

 その原因が党幹部独裁主義を組織の末端まで浸透させる「民主集中制」という組織原理に原因があると私は思っています。ロシアのレーニンが独裁を確立するために考案した民主集中制は、一時期世界各地の共産党に流布されましたが、現代の世界では、僅かに中国共産党、北朝鮮労働党、ベトナム共産党、ポルトガル共産党、日本共産党だけになりました。

 かつて西欧では大きな組織を誇った、フランスもイタリアの旧共産党も民主集中制は綱領で放棄しているはずです。ロシアの共産党も採用していません。

「民主集中制と近代政党」(日本共産党中央委員会出版局・1978年刊)を読みました。あいかわらずひとりよがりな表現が多く、読むのは「苦痛」でしたが、読み通しました。


「民主集中制とはなにか。どんな機関を選ぶときにも。民主的な選挙によって選ばれる。党の方針を決定するときには、民主的な討議を尽くす。大会を開くときにも、わが党は支部党会議、地区党会議、県党会議と各段階の党会議を経て大会代議員を選ぶ。
 大会議案についても1ヶ月、2ヶ月という長い期間の全党的党論をやって、最終的に大会で決定する・これはわが党のすぐれた民主的な特徴であります。党の運営においては、これだけ民主的なやりかたでつくしている党はほかにはないでしょう。」(P34「日本共産党の民主集中制について」)

「日本共産党の場合、国民への責任を果たす変革の党として、理論的にも実践的にも積極的に諸活動をすすめると同時に、党内での討論はきわめてこまかく、くりかえしおこなっている。
 党の基礎組織である支部は通常、週1回程度の会議をひらいている。ほとんどの党員がこの支部会議に参加し、活発な意見をだしあっている。地区委員会から中央委員会にいたる各級委員会の会議も定期的にひらかれている。
 このように、実践しつつ活発な討議を全体として日常的におこなっている政党はわが国では日本共産党意外にはない。」(P93「討論による満場一致に不思議はない」)

 独特の語彙も表現も我慢して、書き写しましたが。「部外者」には良く理解出来ません。物凄く「官僚的」であり、「手続論」が多彩。ようするに組織的討議をきちんと、下部組織からして、上に上げているのだから、党大会での「異論が出るはずはなく」「全会一致は当たり前」とこの本の執筆者は言い切っている。

 言い換えれば日本共産党の頭脳は「中央委員会」であり、決定事項を手足である下部組織に下ろして、「確認作業」をしているだけ。現場や市民大衆に対峙している下部党員の意見を吸い上げ、中央党組織で討議する機能はないようです。形式的にはあるのでしょうが、機能しているようではないですね。

 機能しておれば、総選挙であれほど大敗し、得票数も減る筈はないでしょう。従来共産党の活動が盛んと言われていた高知県でさえ、昨年の総選挙では、得票数が減少。供託金没収の事態になっている。

 「上意下達」の組織であることは間違いない。各支部は「フィルター」になっていて「異論」を排除するしくみになっているようです。つまり党幹部の「指令」が明らかに間違っているのであるが、それを修正し、是正するしくみには残念ながらこの「民主集中制」は機能しないようです。陳腐化した「化石」の組織形態と言えるでしょう。

 日本共産党は「面白くもなんともない」組織であるから、時代に対応出来ず、「化石化」しているのではないか。民主集中制が党の官僚化をより推進しているだけではないのか。これでは党勢は拡大しませんね。

 日本共産党はただちに、党独裁主義の「民主集中制」を放棄すべき。それを決断すれば、わたしも連携できると思うからです。

 参考ブログ記事 共産党志位委員長を中央公園で目撃
Shikyousantou


志位委員長は「一度も国政選挙で勝利していない」党代表者である。

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