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2010.03.15

”怪男児”岩崎弥太郎

Iwasakiyatarouhon


 2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」。主役は坂本龍馬。もう1人の主役は岩崎弥太郎。三菱の創業者である。香川照之が、埃まみれで岩崎弥太郎を熱演しています。あまりの汚さに現在の三菱関係者からクレームがついたとか。それほど演技がリアルだったのでしょう。

 近くの図書館で借りて「小説岩崎弥太郎」(嶋岡晨(しん)・著・河出書房新社)を読みました。まさに熱演の岩崎弥太郎そのものの、豪放磊落で、はちゃめちゃ、尊大な人物そのものでした。借りてきて、仕事が終わって一気に読みました。まさにこの人は動乱期の怪男児そのもの。

 没落した地下浪人。チャンスもなく腐っていると、鏡川で板垣退助に偶然会う。彼の友人が後藤象二郎。いずれも身分の高い上士だが、変わり者で喧嘩早く板垣は謹慎中。後藤が「わしの代わりにレポートを書いてくれ。」と弥太郎に依頼。その論文が塾頭の吉田東洋に認められ、長崎へ派遣されることに。

 しかし弥太郎は「人間関係を作るため」と称して土佐藩から預かったお金をすべて飲食費用と遊郭での接待に使い込んでしまう。目付け役に密告され解任。そうこうしているうちに、吉田東洋が暗殺さる。しかし藩主の巻き返しで武市半平太以下土佐藩の攘夷派は一掃される。

 幕末維新の動乱期に、後藤と板垣は若くして藩の要職になる。「使える男」として岩崎弥太郎は重宝されるように。やがて廃藩置県があり、岩崎は藩から自立し、三菱を創業して、主に海運業で財を成し、関連事業で飛躍する。

 著者の嶋岡氏は岩崎弥太郎を称してこう総括する。
「ひとくちにいって、そのたくましい青春的活力、山路愛山の言う「カーライル主義」(独裁主義的ヒロイズム)の躍動、「地球横絶」というような坂本龍馬にもつながる夢、その商業的ロマンティズムを、弥太郎の中に要約することは決して困難ではない。

 あの海援隊の夢は、たしかに弥太郎の「三菱」にひきつがれたのである。ただその志向するところは、帝国主義国家の侵略的野望、さらには非人間的な経済的営為そして戦争の悲惨さへと、ながれこんでいくものだったことも、確かで、それはやはり強く批判され拒否されるべきものを抱えている。」(P252「著者あとがき」)

 作者があとがきで「要約」している人生そのものであった岩崎弥太郎。彼のような破天荒な人物は今の時代には現れないでしょう。

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