「地域通貨」を考える
ある休日、久しぶりに会う知人が訪ねて来られ長時間懇談しました。テーマは「地域通貨」のことでした。
「地域通貨」といえば、昔NHKの番組「エンデの遺言」というのがあり、そのなかでゲゼルというひとの「劣化する貨幣」についてのレポートが印象に残っていました。
人間や生命体は誕生してから、どんどん劣化し、遂にはなくなるのに、貨幣は「利子」という不思議な性質があり、増幅する。おかしいのではないか。
世界大恐慌の時代に、失業者が街に溢れていましたが、欧州のある自治体は「劣化する貨幣」を導入すると、経済が回復、失業者はいなくなりました。しかしやがて国家が介入し、その「劣化する貨幣」を禁止したとたん、元の木阿弥になり大不況が町を襲いました。
「はやく使用しないと価値がどんどん減る」から皆争って使い経済が回転するのです。「タンス預金」なんてことはありません。お金が流通すれば経済は必ず活性化するからです。
以下そのホームページから全面引用します。(長文ですがあしからず。意味が分からない箇所もありますが、読めばわかるということにもなるからです。)
その理論を世界で最初に応用したのが、オーストリア・チロル地方のヴェルグル(Woergl)である(このことについては、「三つの鏡」の「井上ひさしとの対話」で紹介されている)。当時5000人しかいなかった町の400人が失業していた。
通貨が貯め込まれ、循環が滞っていることが不景気の最大の問題だと考えた当時の町長、ミヒャエル・ウンターグッゲンベルガー(Michael Unterguggenberger)は、1932年7月、町議会に地域通貨を発行することを決議する。町が事業を起こし、失業者に職を与え、「労働証明書」という紙幣を与えた。
「諸君、貯め込まれて循環しない貨幣は、世界を大きな危機、そして人類を貧困に陥れた。労働すれば、それに見合う価値が与えられなければならない。お金を、一部の者の独占物にしてはならない。この目的のために、ヴェルグルの『労働証明書』は作られた。貧困を救い、仕事とパンを与えよ」と裏面に書かれたこの紙幣は、非常に速い勢いで町の取引で使われるようになり、町の税収も増えたが、ここのナレーションで重要な指摘がされている。
「回転することで、お金は何倍もの経済活動を行えるのです」というものだ。だが、なぜそんなにお金が回ったかといえば、このお金は月初めにその額面の1%のスタンプを貼らないと使えないからである。
言い換えれば月初めごとにその額面の価値の1%を失ってゆくこの紙幣は、手元にずっと持っていてもそれだけ損するため、誰もができるだけ早くこのお金を使おうとしたため、この「老化するお金」が消費を促進することになり、経済が活性化したのである。
公務員の給与や銀行の支払いにも使われ、この奇跡を目の当たりにした周辺の町でもこの制度が取り入れられようとしていたが、オーストリア政府の禁止通達によりこの通貨制度も1933年9月に終わってしまったのだ。
エンデは「三つの鏡」で「大抵の資本家たちはそんな考えが世間に広まるのを妨げる方向に強く動いたんです」と語っているが、非資本主義的なこの通貨制度を現代社会の頂点に立っている人=資本主義の甘い汁を吸っている人が直視しないことが、問題であるといえる。(エンデの遺言 NHK1999年)
大福帳方式で「地域通貨をやろう」という構想らしいです。「ぜよ」という名前になしそうであるとか。
2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」で土佐弁が流行になっておりますね。「〇〇するぜよ」「土佐を脱藩するぜよ」「けんかばかりすしてもいかんぜよ」「わしは船で世界の国と貿易をするぜよ」とか積極的な行動をしようとするばあいに「ぜよ」は土佐弁で使用されます。
構想のすべては理解出来ませんでしたが、反対する理由はありません。面白い試みであると思います。
10年ぐらい前に考えていたことを思い出しました。
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