太陽の子と未知への飛行を鑑賞しました
小夏の映画会(田辺浩三さん主催)の映画「太陽の子」(浦山桐郎監督・1980年)と「未知への飛行」(シドニー・ルメット監督・1964年)をあたご劇場で鑑賞しました。
「太陽の子」は神戸で「沖縄料理店」を営む一家3人を中心とした話。娘のふーちゃんは小学生の時から店を手伝い、明るい性格で人気者。だが時折おこる父親の発作が一家に暗い影を落とす。
父親は沖縄県波照間島の出身。沖縄戦では中学生で戦地に動員され、方言を話したとして日本兵にスパイ扱いされ虐待される。戦地で負傷した女子学生(大竹しのぶ)たちが米軍に追い詰められ、摩文仁の丘で自決してしまう。自分に勇気があればと常に心に思っていた。
映画の設定は1980年頃だから、戦後35年も経過している。本土の沖縄出身者は「りゅうきゅう者」と差別を受け、戦争での心の傷もかかえながら暮らしていたのです。
「太陽の子」(灰谷健次郎・著・理論社・1978年)の書籍は、家内が購入していて、うちにもありました。読んでいないので、映画を見たこともあり読んでみようと思います。
それぞれ登場する沖縄出身の人たちの苦悩が描かれています。沖縄での地上戦と、戦後の米軍支配が大きな影響をあたえていますが、その沖縄の苦しみが、日本本土にほとんど伝わっていないという現実は、今日の日本の課題(普天間問題での政府の迷走)にも現れていると思いました。なかなかの秀作映画でした。
「未知への飛行」というSF映画は、キューバ危機のあと作成されたのでしょう。制御不能の米軍の爆撃機がソ連領に侵入、モスクワを核攻撃してしまう。米国大統領は、世界戦争ー破滅の危機を回避するために、ニューヨークを核攻撃する命令を出しました。
映画は作戦司令室と地下の狭い大統領司令室での電話のやりとりばかりの画面が主体。しかし緊迫感は伝わってきます。
核兵器保有が自国の安全の担保になるのではなく、自国を破壊する脅威となるのを克明に描いていました。核抑止力というのは幻想であり、よくぞいままで核戦争にならなかったと言えます。
| 固定リンク
コメント
けいすけさんコメントありがとうございます。良い映画でした。
原作も今読んでいますが、なにかと考えさせられますね。
投稿: けんちゃん | 2010.08.09 18:44
僕も「太陽の子」を30年ぶりに見ました。その時の感想を書いた記事をTBさせてもらいました。
投稿: けいすけ | 2010.08.09 16:39