「近藤長次郎」を読んで
「龍馬の影を生きた男 近藤長次郎」(吉村淑甫・著・毎日新聞社刊・1992年)を図書館で借りてきて読みました。
2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」でも、近藤長次郎役は大泉洋が好演していました。近藤長次郎が高知城下のまんじゅう屋の息子であり、学問が出来たために河田小龍に見込まれ、江戸への留学費用も支援され、勝海舟門下に入門していたことも史実です。
著者の吉村氏はそのあたりを丹念に描いている。龍馬伝でも妻がいて,息子もいるようになっているが,史実もそうであり、その子孫も存続していることも著者は突き止めています。
幕末動乱期に「薩長同盟」を経済的・実利で結びつけた最大の功労者は近藤長次郎。交渉相手の薩摩や長州、グラバーにも高い評価を得ました。ただ実利を追求したことが、誤解を生み,英国への密航も失敗し、長崎で切腹してしまう。
そこは町人から武士に取り立てられた自尊心もあったことでしょう。惜しい人を亡くしたと思います。
もし近藤長次郎が生涯をまっとうしていたなら、岩崎弥太郎とは一味異なった経済人になっていたと思う。この本を読んでそう思いました。
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