幸徳秋水読本を読んで
昨日に続いて,幸徳秋水関連本を読みました。
図書館で幸徳秋水関係の本を借りて読みました。「現代に生きる 幸徳秋水」(幸徳秋水を顕彰する会・2007年刊)を読みました。
こ本は、幸徳秋水の業績を正しく中学生達にも伝達しようということで、地元中村(現在四万十市)の有志によって出版されたようです。
それだけに大変わかりやすい記述になっています。「20世紀の怪物帝国主義」という著作の解説もしています。
「帝国主義とは、いってみれば、愛国心を経(たて糸)とし、軍国主義を(よこ糸)として織り成した政策である。だから愛国心とは、それは,博愛の心ではない.敵国の人々のために祈る心ではない。
それは自国の国土のために,外国,外国人を侵略,討伐することをもって、ほまれとする。好戦の心である。好戦の心は,原始的な,動物的性質そのものである。好戦的愛国心である。これは,釈迦、キリストの教えとは,絶対に相容れないものである。」(P36)
この記述等は、「テロとの戦い」と称してイラク戦争を引き起こしたアメリカそのものであり、強権的な軍事支配と軍拡を続ける中国,ロシアも幸徳秋水の定義によれば「帝国主義国」です。
また天皇についてこうも述べています。
「日本の皇帝は,ドイツの皇帝とは異なっている。戦争を好まず,平和を重んじられている。強大な力をふるわれることを好まず、自由を重んじたまう。
1国のための野蛮な見せかけ繁栄を喜ばれず,世界のために,文明の幸福と利益を願われておられる。けっしていわゆる愛国主義舎・帝国主義者ではあらせられないようだ。」(P37)
きちんと日本の天皇制や皇室のありかたを正確に記述されています。どうして大逆罪で捕縛され、処刑されなければならなかったのでしょうか?
日本が己を見失い、帝国主義国となり,自国民だけでなくアジア諸国民に多大な犠牲を強いて滅亡にいたる道は、幸徳秋水らを無実の罪で処刑した大逆事件から始まると思いました。
| 固定リンク
コメント