「お父さんの戦記」を読んで
「娘に語る お父さんの戦記」(水木しげる・著・河出書房新社・1985年刊)を読みました。水木しげと言えば、子供の頃「ゲゲゲの鬼太郎」を読み、テレビで鑑賞したもの。たいしたファンではなかったが、妖怪キャラクターのねずみ男や、ぬり壁、こなき爺、一反もめんなどを知っているので、浸透度は大変なものです。
好評だった「ゲゲゲの女房」でも、水木夫妻の半生がドラマになり、面白く毎日見ていました。
ドラマにもでてきましたが、水木しげるは大変な戦争体験をしています。ろくに武器のない状態で突撃命令が出て、部隊は全滅。死線をさまよいようやく帰着したものの、「なぜ皆と一緒に突撃して死ななかったのか。」と詰問されるはめに。
マラリアで弱っているところへ、爆撃で左腕を切断。傷病兵となる。その間に現地の人たちと仲良くなり、軍からは怒られるが、楽しい思い出として何10年も語られる。
この本は水木しげるが、2人の娘たちに自分の戦争体験を挿絵も含め書き下ろしています。読んでいて身につまされる箇所もありました。
無意味な軍事訓練。軍隊内での無意味なリンチ。死ぬことの強要。そのなかでも水木しげるは過酷な環境に適合し、生き抜こうとしている姿が描かれています。
戦争の悲惨さ、惨めさをきちんと描かれています。
水木しげるのマンガの原点があるのだと思いました。
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