映画「キャタピラー」を見ました
偶然知人のYさんに映画のチケットを2枚いただきました。しかも4日当日が上映日。「キャタピラー」(若松孝二監督・寺島しのぶ主演・)を見ました。夜須のセーリングから戻り、身体は疲れていましたが、シビアな画面の連続で居眠りは全くできませんでした。
若松孝二監督といえば、「連合赤軍浅間山荘」をDVDで見て以来です。「おぞましい」映画と聞いていましたので、自分から見たいとは思いませんでしたが、思わぬ幸運で鑑賞させていただきました。
感想は「考えさせる」映画でした。登場人物はほとんど画面も夫婦2人きり。
時代は戦前の時代。男尊女卑の時代で軍国主義。子供が出来ぬ妻(寺島しのぶ)は夫からDVを日常的に受けていました。赤紙がきて夫は戦場へ。しかし戻ってきた夫は手足がなく、顔も焼け爛れた変わり果てた姿。しかし周囲は「軍神」と崇め、国からは勲章まで支給されている。
夫は軍神様ですが、なにも自分ではできない。食べること、排泄すること。眠ること。性欲は旺盛。言葉も喋れない。意識ははっきりある。とてもお互い辛いと思う。
献身的に妻は介護するが、だんだん疎ましく思えてくる。何もできない夫ですが、DV時代と何も変わらない。それで妻も耐え切れなくなる。その気持ちは画面から伝わる。
やがて日本は敗戦。その日に夫はいも虫のように家から這い出し、庭の池に飛び込み命を絶ちました。
寺島しのぶさん。体当たり演技で頑張っていました。いい映画でした。考えさせられました。
反戦映画というのもわかります。また介護という観点でも考えさせられました。無責任な周囲の励ましが当事者を追い込んでいくということに於いても・・
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コメント
山ちゃんさんコメントありがとうございました。
寺島しのぶは存在感がありました。当時の農村婦人を演じていましたが、違和感がない。農作業も家事の作業も、介護の場面も・・。
「ジィニーは戦場へ行った」は「箱男」の話ですね。モールス信号で通信する。
戦争は関係なくても介護の問題などはありきたりの話であると思います。
若松孝二監督は「ピンク映画の巨匠」ですから。前作の連合赤軍の映画の入れ込み殻すれば、力の抜けた良い作品であるとわたしは思いました。
投稿: けんちゃん | 2010.12.05 16:00
私も楽しみにして見ましたが、見た直後は正直言って”絶句”。
NHKBSの海外ドキュメンタリーで放映されていた、”米国の立場からみたベトナム戦争”を思い出しました。どちらかと言えば比較して、このような切り口で良いのだろうかと。
ドルトン・トランボの「ジョニーは戦場に行った」という作品と比較して日本的というか、若松孝二監督のほとばしる反戦への思いは、前作を超え、彼の60年代から70年代に回帰したような表現になっていたと思います。そしてこの映画は”夫婦間の愛憎劇”に置き換えられ、戦争の中で流されていく人間の心を見せつけるのです。
私には「不快」な映画に分類されてしまいました。
寺島しのぶの熱演をみて、独り舞台の映画でも良かったと思いました。
しかし若い戦後第三世代の人たちが戦争を考えるきっかけとなる作品です。見ても損しません。ついでに「ゆきゆきて神軍」も思い出してしまった。
ブログを読ましてもらって、つい自分の思いをコメントしてしまいました。
投稿: 山ちゃん | 2010.12.05 14:12