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2011.01.30

サッカーは偏狭な民族主義を超越する

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 日本のアジア・カップの4度目の制覇は、在日コリア4世の李忠成選手の鮮やかなボレーシュートが決まったからです。ずっと今大会控えでしたが、最後の最後に交代で出来て、本人の言葉どうりヒーローになりました。

 在日コリアということで、ユース時代には韓国代表候補にもなっていたようです。

 しかし韓国での在日コリアに対する差別をされたといいます。

 このあたり韓国の中央日報日本語版に詳しく経緯が記述されています。

「 李忠成は2004年U-19(19才以下)韓国代表チーム候補として国内でテストを受けたがチーム入りはできなかった。在日韓国人をさげすむ「パンチョッパリ」という悪口まで耳にした。祖国の冷たい扱いは彼には大きな衝撃だった。その後日本で実力を認められた李忠成は、オリンピック代表に名前が挙がると、2006年9月に日本への帰化申請をして2007年に日本国籍を取得した。2008年の北京五輪では日本代表のレギュラーとして出場した。彼は当時、「大きな舞台でゴールを入れ世界に在日韓国人の可能性をアピールしたい」と話していた。帰化から4年で夢をかなえたのだ。 」(中央日報 日本語版 より 引用)

 <アジア杯>李忠成、日本を勝利に導く(韓国中央日報・日本語版)


 また中央日報は、日本ー韓国の準決勝のPK戦でゴールを決めた奇誠庸(キ・ソンヨン)のパフォーマンスが問題になっていたようです。

 【取材日記】危険な民族主義か、奇誠庸のパフォーマンス
「 奇誠庸は試合後、ツイッターに「観客席にある旭日旗を見る私の胸は涙が出た」と書いた。旭日旗は帝国主義日本の軍隊が使った旗だ。奇誠庸はツイッターを通して、パフォーマンスの意味を説明したようだ。旭日旗を掲げた日本応援団を非難しながら、奇誠庸の肩を持つサッカーファンもいた。しかし非難するファンのほうが多かった。また奇誠庸は「選手である前に大韓民国の国民」というコメントを載せた。 」

 多くの日本人はこの行為について気がついてはいませんでした。むしろ韓国のサポーターが気がついて、奇誠庸(キ・ソンヨン)選手を非難していたようです。

 このあたりは韓国国民も経済成長で余力がある証拠。新聞の論調も冷静です。

「 サッカーは人間の本能を刺激するスポーツといわれる。国家対抗戦は民族意識をあおる。奇誠庸のゴール後のパフォーマンスは熱い若手選手が過度に喜びを表現した例ともいえる。こうした点で日本コラムニスト宇都宮徹壱氏が「スポーツナビ」に載せた「日韓戦後日談」というコラムは注目は値する。「奇誠庸は才能豊かなプレーヤーであり、間違いなく韓国代表の次代を担う逸材だ。今後もし、日本戦に出場してゴールを決めることがあったら、クールなガッツポーズできれいにまとめてほしい。日本のサポーターには、そちらのほうがよっぽど悔しいのだから」。

 韓国中央日報日本語版 2010年1月30日号より引用しました。

 サッカーは,民族、宗教、階級を超える世界的なスポーツであります。才能豊かな奇誠庸(キ・ソンヨン)選手が偏狭な民族主義にとらわれることは残念です。

 そんな偏狭な民族主義を超越する面白さがサッカーにはあるのです。

 李忠成選手は、自分で日本国籍を選択し、見事に大一番で結果を出しました。彼の活躍は”偏狭な民族主義”を吹っ飛ばした快挙でもありました。

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