「わかりやすく<伝える>技術」を読んで
書店で新刊本として「わかりやすく<伝える>技術」(池上彰・著・講談社現代新書・2009年刊)を777円で購入しまして読みました。
池上彰さんといえば、元NHKの記者で「週刊こどもニュース」のお父さん役。定年でNHKを退社された後も、民放局でも人気番組に出演。必ず高視聴率を上げる「重宝な」人物。最近はテレビ出演をすべて断り、取材に専念されるようです。
この本も実にわかりやすい。見出しだけで池上氏の言いたいことが殆ど理解できるのです。
「話にはリードをつける」「内容整理のポイントは対象化ー対象化は見える化」「映像を意識して原稿を書く」「本当に理解していればざっくり説明できる」
今流行のパワーポイントについても池上さんは述べています。
「パワーポイントには。文章を書いてはいけません。文章にすると、聴衆は、画面の文字を読んでしまいます。そんあなことなら、そのパワーポイントをプリントして聴衆に配ればいいのです。
プリントしないのであれば、文章にせず、伝えたい要点、キーワードだけを書き出すのです。」(P91 「図解してから原稿を書き直す」)
池上氏はプレゼンテーションの前に「見出し」になる、キーワードを予め取り出し、聴衆をそれで「つかんで」から話をするようです。
「在宅起訴という専門用語はやめて、「逮捕しないで取り調べ、起訴しました。」と言い換えました。」(P73「わかりやすい図解とは何か?}
池上彰氏の真骨頂は「時間間隔」でしょう。引用が長いですが、的確なことを言われていますので、引用してみます。
「時間感覚を身につけよう」
「テレビは分刻み、秒刻みの世界です。
テレビには、10秒あれば、かなりまとまった内容を話ことができます。30秒もあれば、話に起承転結をつけることも可能です。こんな話を聞くと信じられないかも知れませんが、放送業界の人間は、30秒あれば相当のことができると思っています。これは身体にしみついた職業的な感覚です。
情報番組のコメンターの場合、ひとりがじっくりカメラに向かって解説できるのは、40秒が限界です。「どう思いますか」と言われてとっさに気の利いたコメントで答える場合は、20秒です。みんなすっかり気が短くなってしまったのですね。
民放テレビの情報番組をご覧いただくとわかりますが、コメンテーターの話が20秒を超えますと、その話を聞いているキャスターのうなずきの表情に切り替わります。
或いは画面が関連情報に切り変ります。関連情報を流しながら、話続けているコメンターの顔が、小さい円形の窓(これを「丸ワイプ」といいます)の中に映ります。コメンターの顔を映し続けるのが辛くなってくるからです。
20秒となると、さすがに起承転結をつけることは無理です。この場合は、第1章で述べたように、いわゆる逆三角形のリードの部分をコメントします。あるいは起承転結の「結」だけでいいのです。
もし余裕があって40秒使える場合には、「結」から始めて、「それはなぜかというとこういうことなんです」と「承」ないしは、「転」に触れればいいのです。さらに時間があれば「結」を繰り返します。
一般のプレゼンテーションや報告会では、30秒単位で考えることはまずないでしょうが、あと10秒、あと5分、3分でどのくらい話せるかということは、1度練習して時間感覚を身につけておくといいでしょう。」(P148「時間間隔を身につけよう」)
いやはや物凄い技術であると思いました。
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