「罪と罰」を読んで
図書館で借りました。「罪と罰」(ドストエフスキー・著・江川卓・翻訳・集英社刊・1968年)を読んでみました。
字ばかりの長編小説です。だいたいこういう世界文学の名作は学生時代に読むのが定説。家内も学生時代に読んだとか。わたしは学生時代は小説は殆ど読んでいませんでしたから。文学的な素養はまるでありません。
どうして読んでみようかと思ったのかは「「連合赤軍と新自由主義の総括」をこのところ考えていました。社会思想や社会運動面での総括作業だけではなく、宗教的な見地も必要であるので、「罪と罰」を読んでみるかとなったんです。
一読した感想は、「読みやすかった」思いました。ロシアの小説はなんせ登場人物が多く、覚えるのが大変。でもこの小説は主人公のラスコーリニコフを中心に、絡んでくる人間がそれほど多くないので、筋がなんとかつかめました。
常に主人公のラスコーリニコフは、いらいらして神経質。独り言も多い。展開は最初のほうで、高利貸しの老婦人を訪問し、斧で頭に振り下ろし殺害する。同居していた妹まで同様に殺害する。
そのまま街路に出てふらふらとさまよい、安酒場でいろんな人達と絡む。強奪したお金で親しくない人の葬儀費用をぽんと出したりする。だんだんと追い込まれてきて自首し、懲役刑になりシベリアへ流刑される。主人公は本当に殺人を真底反省しているようではないし、なんだか不思議。
19世紀中ごろのロシアの市民生活が克明に描かれています。現代的。年金や裁判官や執行官なども登場する。当時の首都ペテルスブルグが実に近代都市であることが読んでいるとわかりました。
解説では読む人によって「どうとでも読める」小説なんだそうです。遅ればせながら読みましたが、感想は「面白かった」です。
罪に対する贖罪や、宗教的な葛藤などがあるのではないか。と思い込んでいましたが、意外にもラスコーリニコフは、あっけらかんとして現代的な人間であると思いました。
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