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2011.03.11

「アメリカの日本改造計画」を読んで

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 ブログで交流しているしばやんさんは歴史に大変詳しい人です。やりとりのなかで、推薦図書を提示してもらいました。

江藤淳「閉ざされた言語空間」(文春文庫)

勝岡寛次「抹殺された大東亜戦争」(明成社)

西尾幹二「QHQ焚書図書開封」1~4(徳間書店)でした。

 高知市民図書館でのパソコンの検索機能で調べますと、ありましたのは「閉ざされた言語空間」のみでした。これは先日何とか読みました。しかしあとの2冊はありません。

 そこで西尾幹二でひっかかったのが、「「アメリカの日本改造計画 マスコミが書けない「日本論」」(イースト・プレス・2006年12月刊)でした。

 時代背景は「格差社会」を際限なくこしらえた米国追随政権の小泉純一郎が退席し、後継の安倍三が後継首相になっていた時代です。まだ自民党政権でありました。2007年の参議院選挙で自民党は大敗し、「ねじれ国会」が現れます。福田康夫ー麻生太郎と政権を1年交代で回すも、2009年の総選挙で野党の民主党が大勝し、政権交代が起こりました。

 もう5年も前の事だったのかと思いますが、内容は陳腐化もしえちないし、古くはありません。

 なかなかの「論客」が登場しています。

 小林よしのり(漫画家)VS関岡英之(拒否できない日本・著)との対談は優れものでした。

「拒否できない日本(2004年)を発表したとき、私も父親から、反米などけしからん。お前を左翼に育てた覚えはない!って怒られました。違うというのに」(関岡)

「反米というレッテルを貼られた途端、その論説は忌避される。
 そういった奇妙な差別構造が蔓延しています。」(小林)

「ルサンチマンという言葉の本当の意味は、植民地化されてしまった民が、自分が植民地にされていることを肯定する論理を編み出していく精神性のことです。
 
 自分たちは虐げられてきたと恨みつらみを言い募ることがルサンチマンではない。自分の環境を肯定化する言い方を自分で編み出していくことなの、それがルネサンチマンです。」(小林)

「安全保障から外交、内政、規制緩和や構造改革に到るまで、全部アメリカ様に決めていただくのは、非常に楽で居心地がいいわけなんですが、いま日本人は、そこから脱却できるかどうかの瀬戸際に立っていると思います。」(関岡英之)

 そのほか論客たちが吠えています。

「誰のための構造改革だったのか? 改革が進めば進むほど国民生活が悪化する不思議」(紺谷典子・エコノミスト)

「アメリカが押しつけた東京裁判史観が封印した、戦前日本の知的遺産」(佐藤優・外交評論家)

「アメリカに国益を売った者の正体! なぜ政府は年次改革要望書を拒否できないのか?」

「グローバルゼーションという名の虚構」

「上流を売国奴にする教育 下流を奴隷にする教育。
 教育格差で失われていく日本人の品性 (和田英樹・精神科医)

 アメリカ政府は、日本政府に強烈な内政干渉を行い続けました。1993年の宮沢ークリントン会談以降毎年続けられました。それは日本をアメリカの都合のようように「構造改革」し、アメリカ企業が日本市場に参入しやすくするためのものでした。

 どういう政策があったかといいますと

1)人材派遣の自由化

 これにより正社員が解雇され,派遣やパートの社員が激増。日本は急激な格差社会になりました。

2)大規模小売店舗法の廃止

 2000年に施行。高知市にもハゲタカ。イオンが進出。周辺商店街は壊滅し、中心市街地商店街もシャッター通りに。まちこわし法でした。

3)郵政民営化

 日本人の汗水たらして貯金した郵便貯金を、アメリカのハゲタカ・ファンドに提供するための方策としか思えない。誰も良くやったとは言えない酷い政策でした。

4)NTTの分割

 日本独自の通信システムの成長を破壊するためにだけに行われました。

5)政府系金融機関の民営化

 民間金融機関が優れているわけではないのに、誤った政策。結果「貸し渋り」「貸し剥がし」が横行し、日本経済に打撃を与えました。

 本のあとがきにはこう書いてあります。

「こんな美しくない国に誰がした?
 安倍・ブッシュ時代の日米関係の核心を,各界の第1人者が斬る!」
とあります。

 この本の発売から3年後の2009年8月、日本人は「国民の生活が第一」の民主党を支持し、政権交代を実現させました。
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(今は懐かしい「政権交代」「国民の生活が第1」の民主党)

 しかしその1年半後、期待は失望に転じました。菅内閣のやっていること、やろうとすることはかつての小泉ー竹中の「アメリカ追随政策」となんら変らないからです。

 


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