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2011.05.16

「中国を拒否できない日本」を読んで

Chainasekiokahon

 「中国を拒否できない日本」(関岡秀之・著・ちくま書房・2011年刊)を読みました。課題図書の5冊目でありました。2週間に5冊というのはきつかったです。筆者は「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」の関岡英之氏。アメリカに続いて、中国とどう向き合うかの指南書でありました。

 今年の1月に発刊されていることもあり、昨年の尖閣沖での中国漁船の巡視船への体当たり攻撃事件のこともあり、時期を得た出版物ではありました。

「日米同盟は必要だが充分ではない。これを補完する新たな戦略が、わが国には必要である。

 尖閣諸島を巡る中国漁船衝突事件の顛末は、日本が期待するほど米国が日本防衛に最優先で取り組んでくれるわけではないこと、日本はいよいよ自立を模索しなければ国家として立ち行かないところまできていることを、私達に日本人に気づかせてくれた。この点でもまた、頂門の一針であった。」(P45)

 経済成長が著しい中国は、最近外交戦略を大きく変更しています。それは露骨に「膨張政策」を実行し、それを国家戦略として押し出してきていることです。

 関岡氏はそのあたりを詳細に解説しています。見出しだけを追いましても中国の戦略がよくわかります。

「治外法権化する中国」「法律戦・心理戦・世論戦」「利害が一致する東南アジア各国と連携せよ」

「内なる脅威と化した中国のヒト・モノ・カネ」「人権思想の本家フランスの惨状」「チャイナマネーで買われる日本の企業・日本の国土」

「中国の戦略、その内在的論理を読み解く」「ウイグルの教訓」「インドシナ半島をめぐる中国の動き」「超限戦の理論」

「汎アジア原子力地政学の試み」「レスターブラウンの予言」「中国に横取りされたイランの油田」「信用できない資源大国ロシア」「日本とインドの深い絆」「インドにできたことがなぜできないのか」

 尖閣諸島沖での中国漁船による衝突事件。「軍そのものは関与していない。だが、中国側はこれを「戦争」とみなしていた。」(P143)


 無能な菅内閣は当時「戦略的互恵関係だ」とかたわ言を繰り返し、無条件で船長を釈放。船長は「勝利集会」に喜喜として出ていました。危機感を感じた一色海上保安官が、ユーチューブに詳細な衝突場面の動画を公開。これにより中国の罪状が全世界に公開されました。

 ただ筆者の考えの中に国家戦略として原子力政策が盛り込まれている。それによりインドとの連携、中国周辺国であるモンゴル、ベトナム、インドなどとの連携強化を主張しています。

 そのあたりは(?)ですね。周辺諸国とくに、インドとの連携強化、まさに戦略的互恵関係は重要です。ベトナム。モンゴルも大事です。朝青龍さんを大事にしましょう。
原子力の「核燃料サイクル」を重要戦略としていますが、核廃棄物施設も国内に建設できない状態での原子力政策の推進は疑問です。

 ともあれ「教訓本」としては良い本でした。

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