不思議な東京電力の株主総会
6月28日の東京電力の株主総会。福島第1原子力発電所の大事故の後だけに、昨年の3倍以上の株主が出席したようです。多少議事が混乱したものの、現経営陣の信任と、脱原発提案はすべて否決され、現行の経営体制が信任されたとのことです。
東京電力の株主の大半は、金融機関や、機関投資家、関連企業とか。自治体などもあります。福島第一原子力発電の事故で多大な損害を受けた福島県南相馬市は、「脱原発」議案に賛成したとか。
格別目新しい提案もないのに東京電力の現在の経営が信任されました。ある意味「とても不思議」であり。「常識外」「想定外」でありました。
1)原子力災害の補償金額は未だに査定できていない。現在も原発の危機は続いています。一説には10兆円を超えるとも。東京電力の資産は1・5兆円だそうで、大幅な債務超過になることは確実ではないか。
2)原発事故前の株価は2000円台。事故後の株価は300円前半台。7分の1に値下がりしている。今後も代替火力発電への燃料費負担増や、賠償責任への対応で多額の出費が予想され、無配状態が続くと思われる。なのに大口投資家が現在の経営陣を信任し続ける根拠が私にはわかりませんね。
3)今後も無配を10数年間続いても、皆が東京電力の株を所有するのでしょうか?「損切り」で大口投資家、株保有者は投売りするのではないか。
4)原子力発電に変わる新エネルギー資源への投資やシフトの話は現在の経営陣からはなかったようです。先の展望がないのに信任する理由は私にはわかりません。
5)政府の補償や支援を当て込んでいますが、1私企業の不始末に国民の税金を投与する根拠はあるのでしょうか?もっと東京電力側として汗を流すことは必要ではないかと思います。政府の補償がない場合も考えられます。
東京新聞の記事には客観性がありますね。原発記者クラブへは入っていないからでしょう。
議論が深化しなかったという点では、ある意味日本経済界の保守性や、原発依存体質=原発依存経済を象徴しています。
原発立地県の県知事をすべて脱原発知事に変える。電力会社の株の過半数を脱原発株主が買い取る。国政選挙で脱原発政党(ドイツの緑の党のような政党)が躍進する。という条件が揃わない限り、日本において「脱原発」は根付かないことでしょう。
どうなる東京電力福島第1原子力発電所。今年のうちに始末がつけれるのでしょうか?
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