「第九軍団のワシ」を読んで
「第九軍団のワシ」(ローズマリ・サントクリフ作 猪熊葉子訳 岩波書店2007年刊)を読みました。
ローマ時代2世紀の英国地方。主人公のマーカスは、ローマ軍の若き百人隊長。地元氏族との戦いで負傷し、叔父の家に引き取られ療養します。彼の父も軍団司令官でありましたが、北部の戦いで忽然と姿を消した第九軍団を率いていました。
負傷した足のほうはいえて来ましたが、走ることは出来ないため、軍に復帰することはできません。ある時町の円形劇場で、剣闘士同士の戦いがあり、網を掛けられ破れた若き剣闘士をマーカスは引き取ります。
エスカという元地元氏族の若者。ローマ軍との戦いで捕らえられ、奴隷とされていました。マーカスはエスカを家族奴隷として引き取りました。
そして叔父の承諾を得て、エスカを自由の身分にし、父親の第9軍団の名誉回復のために第九軍団のワシの紋章の奪還を企てます。お供は氏族社会事情に詳しいエスカ1人。
マーカスは腕の良い目医者ということになりすまし、実際に良い治療をして氏族社会で信用を得て、第九軍団のワシの紋章を探します。偶然元父の部下に会います。しかし彼は現地の氏族社会に溶け込み、氏族の娘と結婚し家族もこしらえていました。
そして第九軍団のワシの紋章を所有している氏族を突き止め、潜入し、長老の信用も得てとうとうその紋章を奪い取ることに成功します。しかし気づいた氏族は多数の追っ手を仕向け捕縛にかかります。絶対絶命かと思われました。
偶然狩をしていた元軍団兵士に再開。逃走路を聞き出し、なんとか城壁内に逃げ込むことが出来ました。そして軍団の復活は無理でしたが、マーカスは父の名誉も回復され、土地と報酬が、叔父の知り合いの司令官を通じ、元老院から与えられました。
エスカとの友情や、英国のローマ時代の景色が蘇るような記述に読みふけりました。2世紀のブリテン時代の社会がよく描かれていましたね。
またルーカスは自分の境遇に落ち込まず、危険な挑戦をして、見事に成功しました。その挑戦魂に感動しました。
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