« 内容が貧弱な今週の野良犬メディア | トップページ | 残暑厳しい高知市 »

2011.09.14

「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」を読んで

Yoshigenpatuhon

「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」(吉井英勝・著・新日本出版社刊)を読みました。8月1日に高知での吉井英勝氏の講演会がありました。そのときに会場で購入していました。

「これまでは、エネルギー供給といえば、一部の大企業がこれを担い、環境問題となると家庭で省エネに努力したり、エコポイントで電気を買うことや補助金で太陽光パネルを設置することのようになってきました。

 実際、電力などもこれまで「地域独占」といわれる巨大な電力会社が、ほとんど一手に引き受けて発電所建設から発電、送電、売電を行なってきましたから、一般国民はただの電力消費者の1人であって一部の人を別にして、自らの環境やエネルギー問題に関わることはありませんでした。」

「しかしはたしてそれでいいのでしょうか。本当はエネルギー供給と環境と地域経済は深く結びついたものではないでしょうか。いま地球温暖化防止がいわれるようになり、政府が「環境対策には原発推進だ」と叫び、財界からは。厳しい二酸化炭素排出削減目標を決めると「日本から逃げ出さなければならない産業も出てくるかもしれない」(2009年9月8日、三村和夫新日本製鉄会長)などと脅かしています。これは財界の主張する範囲に環境対策を押さえ込むことで、地球環境より企業の利益を第一に考えているということです。」

「その一方で「環境対策」を奇貨として「原発推進」が強められています。原発は1基つくれば約5000億円くらいの仕事になりますから、原発メーカーや鉄鋼、セメントなどの素材メーカー、そしてゼネコンなどが大きな利益を狙っています。
 地球温暖化対策に名を借りて、放射能汚染などの危険をはらむ原発を、大企業のやり方で、増設していってもいいのかが問われているのです。」(P13)
Tiikienezikyuuritu
(地域のエネルギー自給率。地方が高く、大都市部ほど低いことがわかります。吉井氏の資料より)


 筆者の懸念がまさに現れたのが福島第1原子力発電の大事故でした。「120%安全だ」と吉井氏の指摘する安全対策を行なわなかった東京電力と原子力安全保安院。福島県の県土の半分が失われる危険を彼らの怠慢と思い上がりで引き起こしたのです。

では吉井氏はどうすればエネルギー問題を解決すればよいと考えているのでしょうか?

「わたしは環境問題とエネルギー問題は一体のものと考えています。そしてその解決は、大企業への二酸化炭素排出削減などの」帰省措置とともに。日本各地のそれぞれの自然の条件にあったエネルギーの産出にあると考えています。

 しかもそれは、中小企業の仕事起こし、地域の雇用の拡大で住民、青年に働く場所をうみだすことにも結びつきます。そのことによって地域経済が回るようになり、自治体財政も回復して住民への公共サービスもすすむ、「当たり前の自治体のあり方」を取り戻すことになります。すなわち、環境と原発とエネルギーそして地域経済再生はバラバラのものとして考えていてはだめだということです。」(P13)

 高知県梼原町の事例も紹介しています。梼原町は町域の92%が森林です。人里離れた山間地に大型風力発電機を設置しています。売電収入を元に、町民の家屋への太陽光発電パネルを設置する場合の町独自の補助金制度があります。

 間伐剤助成制度をこしらえ間伐を推進しています。建築材の生産、加工、とそのくずを木質ペレットを生産し木質ペレット燃料生産をしています。少水力発電も実施しています。人口4000人の梼原町ですが、こうした努力で現在はエネルギー自給率が30%になっていて、更にその比率を高めようとしています。

 日本の原子力発電は軽水炉型をアメリカの指導ですすめました。そのため再処理済みを含めて大量のプルトニウムを蓄積しています。長崎型原爆500発分の核開発能力を有しています。

 使用済みの核燃料を再処理して、残ったウランと分離抽出したプルトニウムの混合酸化物燃料を使って高速増殖炉を多額の費用(3兆円)をかけて関連施設を建設しましたが、漏洩火災事項亜爆発事故が相次ぎ、成功するめどはありません。

 高速増殖炉が駄目なので、従来の軽水炉型原子炉でプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やそうとするプルサーマル使用が各地の原子力発電所で始まっています。プルサーマルを実施すればするほど、高レベル放射性廃棄物が増加してしまいます。この最終処分方法が日本では確定していません。

「原発の安全性はストレステストをおこないう。」と菅前首相は言いました。しかし吉井英勝氏は「香川県多度津町に300億円出してこしらえた大型振動台がありましたが、小泉構造改革時代に3億円で造船会社に売却されました。したがって老朽化した原発の地震時の挙動を調べる受験装置は日本にはありません。」(P177)というお粗末さです。

「老朽化した原発の安全性をすることもなく、既存原発を当初の30年を越えて長寿命化させ、60年に運転期間を延長しようなどという計画は許されません。

 地震国である日本の全国の原発で、老朽化による深刻な事態が広がっています。いま緊急に取り組まなければならないのは、全国にある、運転開始から20年を経過したものはもとより、すべての原発についての徹底的な総点検を行い、老朽化に伴う材料の劣化や装置内部の生じているキズの進行状況などを明らかにして、その結果に基づいて、運転停止や廃炉を含めた抜本的な措置をとることです。」(P178)

 福島第1原子力発電所の原発災害は、吉井英勝氏の指摘どうりでした。原子力発電の事故は、想定外の災害や津波ではなく、原子力関係者の怠慢と手抜きによる完全な人災であることがよくわかりました。

 地震列島日本では、原子力発電所との共存は無理でしょう。今ある原子力発電所を老朽化した原子炉、活断層近くや、津波の危険性にある原子炉は運転を停止させるべきでしょう。静岡県にあるち中部電力浜岡原子力発電所の運転停止要請は、菅前首相がしたものでした。東海地震の震源域エリアにある浜岡原子力発電所はやはり廃炉にすべきでしょう。

Sekaikatudansougenpaturichi

(世界の活断層分布と原子力発電所の位置図。米国も中国も欧州も地震地域には立地しておりません。)
Ikatakatudansou

(愛媛県伊方原子力発電所△付近の活断層。中央構造線が程近い)

*資料は吉井英勝氏提供。8月1日の講演会でいただきました。


|

« 内容が貧弱な今週の野良犬メディア | トップページ | 残暑厳しい高知市 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11475/52623018

この記事へのトラックバック一覧です: 「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」を読んで:

« 内容が貧弱な今週の野良犬メディア | トップページ | 残暑厳しい高知市 »