市民参加の梯子団について
以前に「都市開発を考える」(大野輝之・レイコ・ハベ・エバンス・著・岩波新書)を読みました。193ページに「住民参加の梯子8段階」という図式が表示されています。
米国の社会学者シュリーアーンスティンが考案したそうです。「住民の参加とは住民に目標を達成することのできる権力を与えることだという。
「最上段の住民権力が最強で、住民がコントロールを握って果たし得る状態である。反対に、最下段は都市づくりに対する彼らの目標を果たす権力は何一つ与えられていない状態である。
権力者たちが世論操作の1部として、意味を曲解したまま「住民参加」という言葉を利用している状態がこれである。ここで使われる「住民参加」とは、たとえば、すでに権力側が決定した事項を黙認するだけの役割しかない形ばかりの諮問委員会に、住民を任命することである。」(P194)
最下段の「市民参加」といえば、全国各地の原子力発電関係の公開ヒアリングなど。「やらせ」が暴露されています。
先日も元役所のOBの人と話す機会がありました。そしたら、「お前さんは言いたいことを言うので高知県庁にも高知市役所にも嫌われているらしいな。」とのこと。
その人が言うには「1市民に役人は正論を言ってもらいたくないからだ。正論は東京の学識経験者が言うのであって市民ごときが言うべきものではないという意識が役人にはあるからよ。」と。極論でしょうが当たらずとも遠からずでしょう。
自分は名乗らずにあれこれ個人情報を聞き出そうとして、責任をとろうとしない役人は大嫌いです。私は役人と応対する場合は必ず部署とフルネームを聞き出します。そうしませんと後で大変な目に会います。それをいちいち「組織の人間」に対してするから組織からは嫌われるのでしょう。
でもそれは当たり前のこと。市民の人のよさにつけこんで「組織」の人たちは不作為を繰り返して来たのです。だから高知は低迷しているのですから。市民の皆さんも「お人よし」は市民同士ですべきであって、役人(市町村はまだましだが、県庁や国の職員に対しては)には警戒が必要であると思いますね。
行政職員は安直に「市民との協働」と言う言葉を使用しますが、市民参加の意味が全然理解できていません。また「形式的な」ワークショップを多用する態度も見られます。
代議民主制度の代表である地方議会議員も無関心な人が多い。「直接民主主義」が自分たちの権益を犯されていると勘違いする議員もなかにはいました。「市民参加」の本質を理解することなく、行政改革だけを叫んでみたところで無意味です。
今後も言うべきことはどんどん言います。卑屈に生きても仕方がありません。
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