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2012.04.29

悪人正機を読んで

Akuninshoukihon

 「悪人正機」(吉本隆明・糸井重里・著・新潮社・2004年刊)を読みました。2012年の3月16日に吉本隆明氏は逝去されました。その後高知市の金高堂書店にて購入しました。

 吉本氏と糸井氏との共著となっていますが、糸井氏が聞き手になり、吉本氏が話し手になっています。多くの設問を糸井氏がされ、まずテーマごとの解説をされ吉本氏が丁寧に答えていく体裁になっています。

 おもしろいなと思ったことを書き留めてみます。

「僕なんかでも銀行からお金を借りて、ローンで返すっていういことがあるわけだけど、それを15年近くもやっていて、つくづく感じたことは、結局、こういうふうに月々いくら返すんだとか,返すのがきついなあとか、そういうふうにお金っていうのを考えている限りは、絶対に金持ちになれねえんだってことですね。

 金持ちになれねえんだって言うと、ちょっと語弊があるのかもしれないけど、つくづく感じたんですね。借金してても何だか気持ちが悪くて仕方がないから、」できりだけ早く払いたいとかいう発想をしていたら,全然ダメなんです。

 金というものをわかっちゃいない。でも雇われ経営者じゃなくて、本当にお金を出してる資本家っていうのを考えてみれば分かるんだけど、お金は全部借りられるって、彼らは思ってるでしょう。で、借りた金も全部自分の財産というか、そういう発想が出来なきゃ、お金は集まらないし、本当の資本家にはなれないんですよ。

 そもそも、返すとか借りていることが気になっているようじゃ、お金についての才能がないと思ったほうがいいでしょうね。

 本当にお金の才能がある人は、赤字でもちゃんと生活してるし、会社が赤字でも、そんなことはどうでもいんだって言うか、会社なんて赤字でやるもんだと思っている。やっぱり赤字はできるだけ減らさなきゃと思って、ムダな電気は消せとか、水道は出しっぱなしにするなとか、そういうことを言っているような経営者は落第ですよ。

 だから、借金の返済を脅かされてるみたいに催促されて、それでほとほと困って、で、まあ、いちばん極端なのは、にっちもさっちもいかなくなって自殺しちゃうとかね。そういうのはお金についてよくわからなかった人ですね。

 そんなことはなんでもないないんだみたいに平然として、脅されたら、どうにでもしてくださいみたいな感じで対応できるようにならない限りは、本当のお金持ちというか、制度的なお金のチャンピオンになれないんだという気がしますね。
 
  脅かしに来るということもまた、自分に関係を求めてくるんだって、そういうふうに思わなければダメだっていうか、典型的な資本家というのは、それが出来た人だと思うんですね。」(P302 「お金」ってなんだ?)

 吉本隆明山から、お金に関してこのような話が出るとは意外でした。そうかも知れませんね。昔の人は「金は天下のまわりもの」って。言っていましたから。その境地ですね。
 
  わたしも借金ばかりで、最近は「どうでもせい」「いよいよとなったら銀行は取立てのプロだから彼らが考えてくれるだろう。そんなことより面白い仕事をいくつか想像し、社会に貢献して評価(利益)を得ようと今必死で考え行動しています。よく意味は最近わかります。金持ちになるのが近づいたのかもしれませんね。

 ネット社会についても吉本隆明さんは卓見を述べています。

 ようするにデジタル、マルティメディア、インターネットやITがいくら発達したところで、人間の精神の発達にはなんの関係のないことであると言い切っていますね。

「人間の一番重要な精神の問題っていうのは、情報科学の発達で届くようなことではないということですね。感覚の発達というのは、大いに」あるんだろうし、それはいいことなんだ、というのが僕の立場です。」(P247「ネット社会」ってなんだ)

Akuninshon2p


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コメント

そういえばブログの全盛期にもコメントしていました。

「社会性を持った議論をしよう(2008年9月投稿)」です。

 当時のコメント

「 よく言われるように日本は学校社会で「ディベート」の習慣がないし、社会的訓練がなされていないからであるとも言われていますね。ですので「しょうもない」自己啓発セミナーが流行していますね。実におかしな現象です。

 この本の著者もそのあたりは指摘はしています。でもどうしたら米国のようにブロガーが大統領選挙にも関与するだけの力を日本でも持てるのか。までの言及は残念ながらありませんでした。

 異質の存在や意見を受け入れ、自己主張をできるようなブログでの交流が広がれば、ブログによる世論が社会に初めて影響が与えられると思います。日本はまだまだであると」

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-6bac.html

投稿: けんちゃん | 2012.04.30 18:13

 マイケルさんコメントありがとうございます。

 吉本さんの言われていますのは「恋愛感情や喜怒哀楽の感情は1000年前とさほど皮ってはいないよ。

 情報科学が進歩したところで、人間は進歩する門ではない、」言っているんですよ。

 ITですべてが解決するはずはないし、すべてITを無視することもできないし、すべきではない。と吉本さんは言われています。

 確かに庶民の伝達方法でITは貴重ですが、体制側はよりお金をかけて、庶民が築かないうちに支配をITを使用してしていますから。それほど過大評価しあにほうがいいのかもしれません。

 ただウィきりークスに対してアメリカ政府のあわてようと敵愾心は異常でしたね。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-ceb5.html

投稿: けんちゃん | 2012.04.29 19:33

こんにちは―吉本隆明―なつかしいてでね―高校時代に文芸部長が「読んでみないか」といってました―結局読まなかったです―(^^♪吉本ばななは読みました―ツグミ―だけ―

今は金融資本主義が猛威をふるう時代になっています―マルクス、レ―ニンと逆の方向に振れてますね。残念ですがそれが現実―金のない庶民は小さくなって生きるしかないですね。
 隆明さんのインタ―ネット論は賛成できません。ネットだけが真実を暴く最後の手段になっているからです―そう思いません?

投稿: マイケル | 2012.04.29 18:34

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