とても悩ましい現実をどう変えるのか
野田内閣や産業界の要請があり、福井県の大飯原発3号機・4号機がとうとう再稼動するようです。「夏の停電があれば産業はたちいかない。」「感情論で物事は判断できない」「世の中完全な安全はありえない。それこそ安全神話だ。」という論法。
関西系のバラエティ番組では、売れない吉本の芸人を総動員。「電気がなければ病人やお年寄りは猛暑で死んでしまいまっせ」「大飯原発の3号機・4号機が再稼動すれば、夏節電する必要あらしませんぜ。電気使い放題や」と原発再稼動キャンパーンをしていました。果たしてそれでいいのだろうか?
大飯原発の地元の大飯町議会、大飯町長、福井県議会、福井県知事も大飯原発再稼動に賛成。野田内閣もGOサインを出しました。非合法な手法ではなく、ちゃんとした民主主義の原則にもとづいた決定であります。これが悩ましい。
各種世論調査でさえ、大多数の国民が大飯原発の再稼動に疑問を持ち、多くは反対している。ネットの調査ではおそらく8割が反対であると思います。フェイスブックなどのコメントを見る限り再稼動反対の意見が目立ちます。要するにここが問題ですね。
先日脱原発の集会へ行きました。3月には集会やデモにもそれこそ何10年ぶりかに参加してみました。しかしそこには「居場所がない」のです。参加しているのは、共産党や社民党の関係者が大半。国政では泡沫政党の勢力。市民派と言われる人たちも、多くは尖がっていて、生真面目だが、一緒に連携してやりたいと思わない人たちが大半。
要するに、「少数派であること」に慣れっこになっていて、多数派になることを最初から諦め、あるいは拒否している人たちが大半でありますね。少数派でいじめられていたのか、迫害されていたのか知りませんが、言動も非寛容で「なぜ脱原発運動をしないのか」となじるようなことを言われると、近寄りたくはない。一生懸命さはわかるが、あまりに排他的、独善的で、とても一緒にやりたいという気持ちは萎えてしまいます。
でも最初に申し上げたように、原発の再稼動は、ちゃんと民主主義的な手順を踏んで地方議会や国会で審議し、議決で決めています。菅直人前首相のように、「それはおかしい。危ないものは危ないぞ。」と市民派感覚を思い出し、福島第1原発事故直後に現場へ飛び、東京電力へ乗り込んだ行為は「業務妨害しただけで、現場が混乱した」ということに原子力関係者により「総括」されてしまうことになります。
私も含め市井の市民。国民の原子力発電への不安、安全性の懸念は間違っていない。消えない風評被害はその体現です。未だに福島第1原子力発電所に「蓋」がされていないので、大量の放射性物質が大気中に放出され続けている現実があります。それゆえ除染作業は「何の効果もない。」(除染作業をしても域内の放射性物質の数値はほとんど変化しない)事態になっています。
また政府は細野原子力担当大臣が「建設後40年経過した原子炉は廃炉にする」という方針を出しました。その方針が国会決議されますと、原発が稼動しようがしまいが、あと20年経過しますと日本の原発は大半が廃炉になります。あらたに原子炉を建設しない限りは日本から原子力発電所は30年後にはすべて廃炉という事態になります。
その事態を恐れ、原子力保安院は、福井県美浜原子力発電所の30年経過した原子炉を「独自に安全審査」し、「10年運転可能」と結論しました。これは「問題の先送り」です。
現在ある原発を再稼動させようが、停止させようが、新たに原発を建設しなければ、30年後にはすべて廃炉になり、新たな電力資源を開発しなけば、、日本の産業経済は立ち行かないのです。また廃炉の道筋をどう確立してゆくのか。放射性廃棄物をどのように処理していくのか。経団連などは目先の原発再稼動より、この問題を真剣に考えるべきであると思います。
廃炉に必要な200兆円とも言われる費用をどのように捻出するのかが問われます。
1番国民的課題で重要なのは、「原子炉の後始末」の問題であり、国民的議論をしなけばいけない課題です。そうしませんと、この画像にあるように未来の人類に「核廃棄物」を贈り物として引き渡すことになります。
また原子力に代わるエネルギー源は確保が可能なのか。経済は成り立つのかの議論をしていかないといけないのです。まさに「民意」はそこにありますが、既存の政党や社会運動体は、そのことに関心がなさそうです。
政治には関心がありましても、「居場所がない」市井の市民はどうすればいいのか?わからないまま考え込んでいます。「居場所がなければ」、「つくれば」いいのですが、具体的に何をどうすればいいのか、「迷える子羊」状態になっている私の今日この頃です。
問題を平和的に解決するには、原子力発電所の立地している自治体の首長や地方議会を脱原発派の首長と議員で多数を占めないといけません。知事も脱原発派でなければなりません。
国会議員も脱原発派の議員が過半数を占め、国の政策として近い将来原発をすべて廃炉にし、再生エネルギーで国づくりを図るエネルギー政策を国策としない限り、原発の再稼動はありえるし、原発に永遠に依存する日本国である続けることでしょう。
物凄く困難で、果てしなく遠い道ですが、市民各位が連携してそれをめざししかないと思います。
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