「ビゴー日本素描集」を読んで
「ビゴー日本素描集」(清水勲・編。岩波文庫・1986年刊)を読みました。岩波文庫の青本です。ブック・オフで300円で購入しましました。
ビゴーは、フランス人で日本文化の浮世絵などに惹かれ明治の中頃来日。18年も滞在して、風刺画を描きました。
経歴を見ますと1860年パリで生まれ、8歳の時に父が他界しました。1871年に世界史上初のパリ・コミューンに遭遇。成立から崩壊。燃え盛る市街と殺戮場面を11歳のビゴーはスケッチをしていたようです。母親がビゴーのが絵の才能に気づき、美術学校へ入学する。
その後いろんなつてをへて来日。結局18年の長きに渡り日本に滞在。日本人妻を娶り、息子も授かることになります。
当時は写真機の普及時代です。そのなかで画力を生かした風刺画がと育食がありました。写真では表現できない人々の行為や表情を表現しています。
「新橋駅前でドイツ皇太子の到着を待つ”在留ドイツ族”」洋装、和装がごっちゃになり、近代化や文明開化の恩恵を受けた人たちと、受けなかった人たちを描いています。
田舎から奉公にでてきた女中の生活も克明に描かれています。台所で女中頭に指図され働いている姿を描いています。
構内ビッフェとも言える駅弁屋の実態も克明に描かれています。当時の日本人による鉄道旅行の様子を伝える写真や絵は少ない。それゆえビゴーの絵は貴重な歴史の承認ですね。
同じアジア人でも、日本人、中国人、朝鮮人をきちんとわけて区別がわかるように描いていたそうです。
明治中期のなにげない日本人の生活習慣や、行動を絵にしてビゴーは残しました。100年が経過すると、その姿は滑稽であり、。理解できないこともあります。
ビゴーは、自由民権運動を弾圧した明治政府と関係が悪くなり、帰国します。その後も絵の才能を生かした仕事をしていたようです。
特色のある人物画、風刺画は印象に残ります。
| 固定リンク
コメント