ヘルプマン21 震災編を読みました。
著者のくさか理樹さんは、介護施設で勤務された経験があるそうです。それだけに介護福祉の仕事の内容、役割を熟知されておられます。
今回の「ヘルプマン21 震災編」は、東日本大震災という未曾有の大災害のなかでも、「ヘルプマン」として逞しく生きようとする主人公を現地取材もされ、丹念に描かれています。
現実の厳しさは想像以上。たまたま講演する予定で訪問したある東北の街で主人公の神崎仁は、大震災と大津波に巻き込まれます。
28Pと29Pの都市部を襲う大津波の迫力の絵には圧倒されました。車が電柱が、家屋が津波に飲み込まれ、津波と一緒に押し寄せてきます。
逃げ惑う住民達。たまたま入っていた喫茶店のマスターと神崎は必死に逃げる。途中避難するなかに1人の高齢者が。神崎は高齢のお婆さんを背負い、懸命に外付け階段を登ろうとしています。しかし津波が迫り、背負ていた高齢者は津波に飲み込まれてしまいました。必死で屋上に駆け上り難を逃れました。
津波での急な浸水で、階段を高齢者を背負って逃げることはとても困難なことですね。よくわかります。
何とか助かったものの、救助はこない。屋上から見下ろすと街の風景は瓦礫の山と化しています。住民同士で助け合いなんとかしようとすることで皆頑張りました。そして自衛隊が来て助けられ、収容所へ向かうことに。
しかしここでも命の危険があります。慢性疾患の人たちや高齢者は危ない。1人で避難してきている高齢者に神崎はモニタリングして、身体状態、栄養状態、避難の時の状態など聞きとり調査をしていました。(P125)
「驚いた社会福祉士は凄いものだ。」
「社會福祉士だけではないです。高齢者福祉に関わるののは みんなそうしています。」と神崎はことなげに言いました。
この著作で1番凄いなと思いましたのは、206-7Pのあたりの言葉です。
「災害の規模に圧倒されてまだ目が覚めてなかったのか」
「奴らが動いていないわけがない。」
「社会福祉士、介護福祉士、保健師、看護師、ケアマネ 他にも高齢者福祉の最前線の現場で実働している奴らには、じじばばに育てられた感受性と縦横無尽な対応力がある。」
216Pにはこう書かれています。
「宮城県介護福祉会は震災翌日から即現地に人材投入を行なっている。彼らは寄り添い、触れ合い、花を咲かせ、その花を咲かせ続けるために詳細なノートに綴り、見事な連携プレーを極自然にやってのけ。驚くべきスキルを証明してみせた。」
著者のくさか理樹さんの丹念な現地取材。交流があればこそ、説得力のある作品となっていました。
もし明日南海地震が高知で起きたとき、落ち着いて対処が出来るのだろうか。そう己に惹きつけて読みました。
*講談社さん、懸命に読んで読書ノートをこしらえるために画像の写真を撮りました。多くの人にこの作品を知って読んでいただきたいので書きました。ご理解ください。まさに他人ごととは思えないからです。
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