自民党の「圧勝」で日本は衰退する
自民党は総選挙で「圧勝」の勢いのせいで、声高に「日本国憲法の改正」を言い立てています。しかしいまの混迷している日本で即必要な政治的な課題であるだろうか?
わたしは最近敗戦後の政治史に興味を持ち、読書をしています。そのなかで岩波新書「戦後政治史」(石川真澄・著・2004年刊)のなかにこのような記述があります。
「戦争放棄は、当時のマッカーサーの理想主義的な心情を表していると同時に、日本の侵略の思想的心情であった天皇制を残す以上に、日本が再び軍国主義国として復活することを恐れる国々に対して、「軍備なき国家」となったことで安心させなければならないという配慮から出たものであったとみることができる。」(P22「憲法改正」)
敗戦後幣原内閣時代に、憲法改正案がいくつか出されましたが、占領軍当局を納得させる改正案を政府案としては出せませんでした。一方で戦争責任の追及があり、「天皇を戦争犯罪人として処罰せよ。」との声が極東委員会の英国、オランダ、ソ連などから強くあり、それを回避する改正案が「象徴天皇制」と「戦争放棄」の憲法の骨格であります。
敗戦後占領が7年間も続いていました。GHQの功罪については議論が必要です。社会の民主化が進展した面と、検閲や公職追放など「罪」の部分も多くあるからです。
日本国憲法が今の形に制定されてきたことは、当時の政治情勢から言えば仕方がないと思えます。他に選択肢はありませんでしたから。その憲法が65年間も改正されなかったのも理由があると思います。
安倍自民党総裁や維新の会の石原氏の私見は、到底国民合意ができるものではありません。憲法改正にエネルギーを費やすよりも、解決しなければならない重要な政治的な課題はたくさんありますから。
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