« 9月1日ごろ台風15号の影響があるかも | トップページ | NPO高知減災ネットワーク会議が設立されました »

2013.08.28

「昭和天皇」を読んで

Shouwatennouhon


 「昭和天皇」(原武史・著・2008年・岩波新書刊)を読みました。

 「天皇は大神主のような存在」と言われたのは司馬遼太郎氏。著作の中でこう言われていま
「二位局がいったことは、天皇家の本質は大神主だというのです。神さまに仕えている、ここで神さまというのは、日本人の精神的秩序に関するものです。地上のことは、しもじもの者がすることで、その大神主たる尊貴の身がああいう戒服を着て、地上の権力者のまねをさせられていまっている。

歴史にはかならず栄枯盛衰があるので、この権力が倒れるときは、天皇家もとも倒れになるのではないか。二位局は、そう心配したというのですが、非常にすぐれた歴史感覚だとわたしは思います。」

「明治憲法が、日本的神聖者である天皇に、軍服をきせ軍馬にのせたのです。明治憲法は、イギリスの憲法なども多少参考にしていますが、やはりドイツ憲法が主な参考資料になっている。

ドイツの軍隊が強い、普仏戦争でそれまであれほど強いと言われたフランスに勝った、ということもあって、明治の政治家にとっては、プロシャというのは非常にチャーミングだった。

 ひとつにはプロシャは皇帝制である。ヨーロッパにおける文明国でありながらドイツ国民が帝室を尊んでいるということ。そういうのが魅力でドイツ憲法を下地にした。そして天皇の位置がカイゼルにあたるというわけです。」(手掘り日本史」・司馬遼太郎著)

 その記述が気になっていましたので、読んでみようと思いました。本の扉にはこう書かれていました。

「新嘗祭(にいなめさい)、神武天皇祭など煩雑に行われる宮中祭祀(さいし)に熱心に出席、「神」への祈りを重ねた昭和天皇。

 従来はほとんど直視されなかった聖域での儀礼とその意味に、各種史料によって光を当て、皇族間の確執をも視野に入れつつ、その生涯を描き直す。

 激動の戦前・戦中から戦後の最晩年まで天皇は一体なぜ、また何を拝み続けたのか 」

 皇族の公務は、外国元首が訪問してくれば接遇したり、自らも外国訪問する。園遊会への文化人やスポーツ功労者の招待客への接遇。罹災地への訪問。全国戦没者追悼式や植樹祭や国体の開会式出席以外の宮中祭祀(さいし)が天皇家の大きな業務であることに、あらためて驚きました。
Tennougyoumumm


 天皇の立場は戦前は大日本帝国憲法のもとでは、「統治権の総攬者」とされ、敗戦後の日本国憲法では「国民統合の象徴」とされ、大きな違いがあります。しかし天皇の業務自体は大きな変化はないようです。                   
読んでいて驚いたのは昭和天皇は、ゴルフ好きであったこと。戦前に存在していた女官制度を廃止したこと。後藤新平の都市計画への関心も高かったということでした。

 世俗的な天皇と、国民から見える皇族の姿と、お堀の中の宮中祭祀(さいし)に熱心に行う皇族の姿の落差は大きいものがあります。推論ですが皇太子とご結婚された雅子さんが、お病気になられたのも宮中祭祀(さいし)の煩雑さや、独特の世界観に追随できなかったのではないかとも思われます。

 また天皇は1975年から靖国神社へ参拝されていません。

「78年10月、靖国神社は松平永芳宮司のもとで、ひそかにA級戦犯14人を合祀した。
この合祀は79年4月に明るみに出た。

 宮内庁長官を務めた富田朝彦によれば、天皇は88年4月28日、「わたしは或る時に、A級が合祀され、その上、松岡、白鳥までもが、(中略)だから、私あれ以来参拝していない。それが私の心だ。」

  中略

 天皇は88年5月20日、「靖国 明治天皇がお決めになったお気持ちを逸脱するのは困る」と話している。(日本経済新聞2007年5月1日)。A級戦犯を合祀すれば、明治天皇が定めた「国をやすらかにする」という靖国神社の根本に反してしまう。

 それでも参拝すれば、昭和天皇は戦争を遂行した人物を「神」とする神社に平和を祈るという矛盾を冒してしまうことになる。

 徳川義寛によれば、天皇はA級戦犯の合祀に反対する理由の1つとして、「国のために戦いののぞんで戦死した人々のみ魂を鎮め祭る社であるのに、その性格が変わるとお思いななっていることをあげたという。」(P214「宮中の闇」

 まさに司馬遼太郎氏が言われたように天皇は「天皇は大神主のような存在」でありました。世俗的な権力を与え、地上の皇帝になることを当の昭和天皇も望んでいなかったことがわかりました。

 今上天皇は 天皇の業務として更に沖縄、サイパン訪問をされておられます。可能であれば韓国や中国への訪問も望まれているに違いないと思います。平和な社会の到来とかつて戦火を交えた近隣国との平和友好親善を強く望まれていると思います。しかし今の政治情勢ではかなわない願望になっています。

 一読をお奨めします。

|

« 9月1日ごろ台風15号の影響があるかも | トップページ | NPO高知減災ネットワーク会議が設立されました »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「昭和天皇」を読んで:

« 9月1日ごろ台風15号の影響があるかも | トップページ | NPO高知減災ネットワーク会議が設立されました »