「集団的自衛権と日本国憲法講演会」へ行きました。
高知市議である細木良さんが、先日事務所へわざわざご案内状を持参いただきました。10月12日は、深夜サッカーの「日本VSセルビア戦」を観戦したこともあり、眠くてしようがありませんでした。でも講演会へは行きました。
「集団的自衛権と日本国憲法講演会」(講師松竹伸幸氏)の講演会は、高知県立大学永国寺キャンパスでありました。主催は高知県労働者学習協会です。内容に興味がありましたので、参加費1000円を支払って聴講に行きました。講演会は午後1時半から4時半までありました。
最近安倍首相は、張り切って「集団的自衛権行使」について声高に発言をしています。しかしその中身がよくわかりません。松竹氏は冷静に調査をされ集団的自衛権の定義をされました。
「日本が加盟している国際連合憲章第51条には、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、加盟国は個別的・集団的自衛権を行使できる。加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならないとの記載されてはいます。
しかし私が調査したところ集団的自衛権を行使した国はアメリカ、イギリス、旧ソ連とフランスしかありません。戦争も10くらいです。」
「国連憲章51条は他国から侵略行為を受けた場合は、個別自衛権は認められています。集団的自衛権のモデルは全米相互条約機構(リオ条約)です。またNATO(北太平洋条約機構)もありますが、この2つの機構は集団的自衛権を行使していません。」
「集団的自衛権行使の実例は、1968年の旧ソ連のチェコスロバキヤへの軍事侵攻と1979年のアフガニスタンへの軍事侵攻。1960年代のアメリカのベトナム戦争とグラナダ進攻と1984年のニカラグアへの進攻でした。ニカラグア進攻は米国の国際法違反と裁判所が判断を下しています。」
「集団的自衛権行使は、歴史的にはアメリカと旧ソ連の侵略戦争だったのです。安倍首相は日本の同盟国のアメリカの艦艇が自衛隊との演習中に敵性国家から攻撃を受けた。日本は反撃しなければならない。
また北朝鮮のミサイルが日本の上空を通過して米国本土へ向かう場合は同盟国日本は迎撃しなければならないと言います。でもミサイルは最短距離で発射された場合、北極海の上を飛ぶので日本からどんどん遠くなっていきますね。この議論も虚構ですね。それにアメリカは日本に頼らなくても独自に反撃する力があります。世界1の軍事大国相手に攻撃を仕掛ける国があるとは思えません。」
「冷静時代には集団的自衛権など全く言っていませんでした。今になってなぜと思います。旧ソ連と変わり台頭してきた中国ですが、経済的にはアメリカとはWINWINになっており、軍事的な衝突するとは考えにくい。安倍さんは中国に対抗するためにアメリカにおすがりするようですが、アメリカはドライに割り切ってます。アメリカは中国とは敵対しません。最近は軍事交流もしてますから。
尖閣諸島はお互いよく話し合って解決してください。とアメリカは言ってますからね。」
「日本国憲法第9条と武器輸出禁止3原則が、世界の平和に果たした役割はとても大きいです。シエラレオネや東チモールでの治安維持。アフガニスタンでの軍閥の武装解除に果たした日本の役割はてとても大きかった。」
「武器を買い上げ、そのかわりに仕事や職業訓練を行い経済支援をすることで地域の平和が保たれる。軍事力を行使しなかった日本であるからこそできた国際平和貢献活動でした。」
集団的自衛権行使の問題は、自民党内でもブレがあるし、肝心のアメリカともしっくり行っていないのではないかと松竹氏は著作のなかで指摘されています。
「日本は沖縄をはじめ多大の犠牲を払って米軍に基地を提供し、莫大な軍事駐留経費を負担し、アフガン戦争やイラク戦争の後方支援をして助けてきたが、その程度ではアメリカは日本のために働いてくれないという不安がある。
これだけのことをしても、アメリカは、日本が攻撃された時に助けてくれないだろうと言うのが、安倍首相や自民党の考えである。
これは日米同盟の絶対化と言うより、アメリカはその程度の国だという不信なのだろうか。もともと先の大戦において日本侵略と戦ったアメリカの理念と、それを侵略とは認めない安倍首相の価値観は、本質的に相容れないものである。
集団的自衛権をめぐる、事態の進展は、その矛盾をあらわにしていく可能性を秘めているのかもしれない。」(「集団的自衛権の深層」(松竹伸幸・著・平凡社新書・2013年刊)
松竹氏は「日本は湾岸戦争の時にお金だけ出して血を流そうと言うことをしなかった。旗印を明確にできなかったのは憲法のせいだ。だから憲法を変えよう。と自民党は言います。実は逆ですね。
日本が軍事力を行使しないで世界の経済大国になっているので、説得力があるんです。武器輸出で手を汚していないので、紛争地域の平和に貢献できるのです。それにはお金の力(経済力)が必要です。日本国憲法はまさに世界平和に多大な貢献をし、日本の国際的な価値を向上させる外交力になっているのです。」
共産党系の会合でしたが、なかなか有益なお話でした。日本国憲法確かに大事ですね。あわてて変える必要など全くありません。つくづくそう思いました。
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