父の通院と読書
週末の金曜日はせわしい。朝1番は父(94歳)の植田医院への通院。診察と点滴があります。寒くなりますと風邪やインフルエンザの感染症に罹患する人も多くなり、待合室も混雑状態。
父は原則週2回点滴します。点滴の時間は30分程度ですが、わたしにとっては「読書タイム」です。今回の読書は「読書力」(斎藤孝史・著・岩波新書・2002年刊)です。11年前の書籍ですが当時から「大学生は読書をしなくなった」と斎藤氏は教官の立場で嘆いています。
「読書の幅が狭いと、1つのものを絶対視するようになる。教養があると言うことは、幅広い読書をし、総合的な判断を下すことができると言うことだ。
(中略)
絶対的な価値観を1つ受け入れ、他を否定する思考パターンに陥っていた。読書の幅も限られていて、自分たちの教義に合致するものが選ばれ推奨された。それと食い違う場合には、憎むべき悪書として攻撃していた。
世界文学を幅広く読み、具体的な人間的理解力を育てようとする傾向はみられなかった。ある種の哲学的問答には強くとも、ある一定の生き方だけを模範とする傾向があった。
矛盾し合う複雑なものを心の中で共存させること。読書で培われるものは、この複雑さの共存だ。
自己が1枚岩なら崩れやすい。しかし複雑さを共存させながら、徐々にらせん状にしてレベルアップしていく。それは、強靭な自己となる。
思考停止するから強いのではない。それは堅くもろい自己のありかただ。思考停止せず、他者をどんどん受け入れて行く柔らかさ。これが読書で培われる強靭な自己のありかただ。」(「複雑さを共存させる幅広い読書」P52)
105年でブックオフで購入した岩波新書ですが、父の点滴をしている間に読みました。なるほどと思いましたね。
安倍政権が強引に強行採決した「特定秘密法案」は、「異論を排す」偏った考え方で法案の趣旨が形成されています。東京五輪の安全対策として「共謀罪」まで提唱されようとしています。安倍内閣は国民の「思想統制」までしようとしています。
それがいかに国民の精神を衰弱させることか。特定秘密保護法案に賛成した国会議員や政党関係者各位は、斎藤孝氏のいう「読書力」の乏しい人たちだったんですね。日本の行く末を決めるリーダーの人達の「教養」が薄弱では、日本国の将来も暗いと、父の病院で思いました。
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