2014年1月24日。25日。26日は、さまざまな団体が開催する「防災講演会」に参加していました。「地域」・「女性」・「子供」・「グローバ」ル・「受援力」など考えさせられる
テーマばかりでした。

1月24日は下知コミュニティ・センターにて「避難所生活と備え」(講師・西田政雄氏)の講演会が中宝永町自主防災会主催で開催されました。防災問題に関心の高い市民20人が参加しました。

学者や行政職員の防災講演会と異なり、西やん(西田政雄氏・防災寺小屋主宰)は、綺麗ごとではなく、生活者目線での本音の実態に即した講演会です。
罹災者の立場として救援物資で何が1番ありががいと言いますと、タオルであったと言われました。罹災者心理としていくら洗濯してあると言っても一度でも着用した古着は着たくはない。それより体を拭いたりするためのタオルが必需品であるとの指摘がありました。
これは防災への備えとしての教訓としても大事ですね。
なんでもかんでも避難施設への移動ではなく、家が無事であれば籠城もありかなと西田さんは言われます。米と水と塩があれば1週間は大丈夫ですから。

避難所の運営は行政任せにすると総じて「平等・公平・公正」が表へ出て実態に対応できない場合が多い。それゆえ「早期に住民側で避難所運営評議会をこしらえ、行政側と連絡を密にして運営すべきでしょう。」との提案をされました。
今年下知コミュニティ・センターで「宿泊・避難所開設訓練」をするので参考になりました。
遺体安置所も場所をとるので大問題とか。浸水エリアが広い高知市なので、場所がないようです。




1月25日(土曜)は、午前10時に高知男女共同参加センター・ソーレにて地域交流サロン」の報告会に参加していました。
下知減災連絡会の坂本茂雄事務局長と、高見幸江委員の報告がありました。坂本事務局長からは、下知コミュニティ・センターを通じての減災活動、下知13の自主防災会連合体としての下知減災連絡会の活動について報告されました。
坂本事務局長が、まとめられた「広報下知減災」の説明や、下知減災連絡会の活動概要を言われました。下知コミュニティ・センターの「防災備蓄品リスト衛生用品」には、高見さんのアドバイスで衛生用品がされました。
高見幸江さんからは「防災備品の検討会へ参加させていただきましたが、女性は私1人。そのなかで衛生用品のお話をするの勇気がいりました。でもネットで東北の実情など調べ、女性の立場で要望を会では伝えました。」と言われました。

高見さんの助言もあり下知コミュニティ・センターでは「分娩キット 災害時用」まで備えられています。ベースはカルポーと[文化施設]に備えてある防災用品でしたが、おかげで実態に即した防災用品となりました。
続いて「女性の視点を災害対策に生かす」という50Pの報告書をまとめられた高知市の女性職員での「高知市女性の視点による南海地震対策検討委員会」の委員長をされている西村浩代さん(教育環境支援課課長)から報告がありました。

高知市役所の14人の各部署の女性職員が、女性の視点からの南海地震対策や東日本大震災罹災地視察を通じて感じたことなどをまとめられています。

「男性には女性独特の問題は相談しにくい。」
「女性だから気づく生活者の視点もある。」
「防災倉庫に何が備えてあるのかを公表することで、自宅に何を備蓄すれば良いのかがわかります。」
「罹災直後は罹災者の心がささくれていて、性暴力などの問題もあったと聞きました。事前の対策も必要です。」
「非常持ち出し袋にご自分の下着を備えておくことも大事です。避難所に下着まで備えられていないからです。特に津波避難などで濡れて避難所へ来られても着替えがないからです。」
「今後は下着を用意することや、薬の管理は薬手帳を持参することも必要ですね。」
「復興期には、がれき撤去作業には参加した男性には日当が支払われます。避難所で炊事をされている女性は無償です。ちゃんと賃金が支払われるようなしくみづくりが必要です。」
多様な観点からの詳細な報告は参考になりました。

今年下知コミュニティ・センターにて「防災宿泊避難訓練・避難所開設運営訓練」を実施するつもちです。> 高知市女性の視点による南海地震対策検討委員会の皆様にもお知恵をお借りして挑戦してみたいと思っています。
2014年1月26日は、高知市文化プラザカルポーとでの「高知市防災講習会」(主催・高知市防災対策部防災政策課)へ行きました。市議の高木妙さんからご案内のFAXをいただいておりましたので。
布師田小学校での防災キャンプと校区フィールドワーク
まず高知市立布師田小学校の北川桂作校長と6年生児童3人による「内陸部における防災キャンプの取り組み ゆれと津波に備える」と言うテーマで報告が行われました。
布師田地区は内陸部にあるとはいえ、校区の海抜は低く、南海トラフ巨大地震の想定では津波被害や地場沈下による浸水も想定されています。
防災キャンプの目的は「将来の南海トラフ巨大地震の際の将来の担い手を育てていく」ことでした。校区の17の地域団体が協力し,児童と教員と地域住民が一緒になって取り組んだとのことでした。
校区の避難路マップ(危険個所の選定)などを地域住民と一緒に実施し。避難路マップを作成しました。電柱や塀や古い民家(瓦葺)等が危険個所となりました。
学校へ泊まり込みの防災キャンプも2度実施しました。避難食の調理や食事もしました。気づきは大人と子供では食べ物が違うこと。乾パンやビスケットではお腹が持たないこと。暖かくて美味しい非常食調理を県立大学の先生に指導いただいたとのことでした。
まとめとしては、「準備が大切である。」「地域と学校の協力体制が不可欠」ということでした。なかなか実践的・先進的な取り組みがされていて参考になりました。
東京大学目黒公郎教授の講演会
「効果的な地震・津波災害の減災策の立案と実施のために」というテーマの講演が続いて行われました。目黒教授の講演の聴講は初めてでしたが、わかりやすく実践的。よく罹災地を把握され、具体的な減災対策も提案されていました。
目黒氏は「日本はこれから人口が減少し、貧乏になっていく過程の中で巨大地震に対応して行かないといけない。ということは効果的な対策を洗い出し、選定して事前になるべく手を打たないといけない。」と言います。
中国政府は四川地震の時に、四川を北京市、上海市、重慶市に罹災地支援を担当させ徹底させました。「対口支援」で実に効果的でした。支援した都市も支援をしていくことで、震災対策のノウハウが蓄積されたのです。
日本の建設業もバブル期は80兆円の仕事をしていた。今は40兆円に。地震が起きたからと言って200兆円(南海トラフ巨大地震+首都圏直下型地震の被害総額)の仕事が出来るのかと言えば出来るはずがない。
できるようなノウハウを今から開発しないといけない。
今までなら全壊、半壊、などの判定を基礎自治体の職員が家屋を回り、査定をしていました。到底まわりきれない。そこは写真だけ取っていただいて、罹災地から離れた大学や企業へ送信し、専門家が画像を見て査定するようにすればいい。
貧乏になるのだから、発想をかえて避難施設も堤防と避難タワーだけという発想を変えてほしい。高齢者や障害者は階段昇降などの垂直移動が出来ない。であるならば水平移動で避難できる「浮体式構造物」も検討すべきではないか。
⇒私たちは既に「浮体式構造物」を提唱しています。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/cat52378328/index.html
東日本大震災の総括は正確にしないといけない。2万人の死者がでた大災害ですが、津波浸水地区の人口は62万人。うち97%は生存した。世界で大規模津波地域では高い生存率でありました。堤防もハザードマップもそれなりに役立っていました。
ハザード(外力)と脆弱性の克服をどう行うか。それは地震災害を「他人事ではなく自分事にする」「地域力を高めることである」

講演会の事前に主催者の坂本茂雄さんのご配慮で懇談させていただきました。下知コミュニティ・センターの防災倉庫やLPガス災害対応ユニットも視察・取材をされました。図書館にも河北新報社の書籍を寄贈いただきました。

2014年1月26日の午後6時半からは「東日本大震災被災地に津波・長期浸水を学ぶ」(サーパス知寄町1自主防災会主催)の講演会が下知コミュニティセンターで開催されました。

講師は河北新報社編集局報道部記者の土屋聡史さんでした。入社歴8お若手記者。石巻市に4年おられ、東日本大震災に遭遇されました。。土屋さん曰く「高知市のこのあたりは石巻に良く似ています。海が近く低地で市街地形成されていますから。」とのこと。より切実に感じます。

罹災者や罹災地を取材してつくづく思いますのは「受援力(じゅえんりょく)を罹災地や罹災予定地(高知市など)でどう事前にこしらえていくかでしょう。罹災地では本当はなにが支援策が必要なのかの的確な情報発信でしょう。」と言われました。
災害弱者と言われる高齢者、障害者の要望を罹災者施設や対策に生かすことが罹災者の減少につながるとも。
「車での避難も難しい。便利ですが、渋滞し逃げ切れず津波に襲われた人たちが多かったです。」
「津波被害が目立ってはいますが、自宅内での家具倒対策やガラス飛散対策をしないといけない。怪我したら逃げ遅れます。」

「本当に困っている人たちの情報をいかに正確に伝えるのか。それは大事。」
[高知の場合は避難所などの衛生管理は大事です。暖かい地方ですから。」
「長期浸水地区の復旧は、まず排水作業。かさ上げ作業など。時間はかかります。
「地域の防災力を高めることが、トラブルの防止にもなる。炊き出しの力は偉大です。」
「町内会などに入っていない若い人などとのトラブルを未然に防ぐ地域力が必要です。」
実際に罹災され、取材で罹災地区を回られておられるので、講演内容は実践的でとても参考になりました。




高知新聞1月27日夕刊記事にも講演会の様子が掲載されていました。

地域の「受援力」(支援の反対語)を高めることをやるべきとも言われました。「なるほど」と思います。
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